- 事業開発
- 組織人事
フェーズごとの事業開発に必要な人材とは?
近年、企業における事業開発の重要性が高まっています。
市場の変化に迅速かつ順応に対応し 、競争優位性を維持することを目的とし、新しい製品やサービスの開発や、既存の製品やサービスの改良を行い、新しいビジネスモデルを構築しています。
新たな顧客の獲得だけではなく、アップセルやクロスセル によって既存顧客への新たな提供価値を生み出すことにより、市場の拡大を図るケースもあります。 事業開発に求められるのはどのような人材なのかを記載しています。
事業開発の3つの組織フェーズ
事業開発は大きく3つのフェーズに分かれます。
0 → 1 フェーズ | 顧客課題と自社の事業シナジーをもとに、新しい価値(事業)を生み出すプロダクトやサービスを創るフェーズです。新しい価値が市場に認められるか最低限の検証をします。 |
1 → 10フェーズ | 新しい価値の価値を拡大していくフェーズです。顧客ベースの検証を繰り返しながらビジネスモデルを創造し、事業拡大のためのプランニングを行います。 |
10 → 100フェーズ | 1→10フェーズで出来上がったビジネスモデルをもとに、事業を高速で拡大していくフェーズです。 |
これを組織で考えると下記のように分けることができます。
0 → 1(ゼロイチ)組織フェーズ:共感によって事業を生み出す
このフェーズでは、小さなチームでのスタートアップとなることが一般的で、市場や顧客価値、事業ビジョンに対する共感力によってチームが組成されます。また、スピード感を持ってアイデアの検証を行うことが必要なため、意思決定がスムーズに行える柔軟性の高い組織構造が求められます。
1 → 10(イチジュウ)組織フェーズ:強い個人がこじ開ける
このフェーズでは、事業を拡大し、顧客獲得を積極的に行うことが求められます。このため、営業力やマーケティング力を持った強い個人が必要不可欠です。組織機能としては、営業やマーケティング人材を獲得し、戦略的なアプローチをすることが求められます。
10 → 100(ジュウヒャク)組織フェーズ:組織体制による団体戦で広げる
このフェーズでは、新たなビジネス領域への進出や、事業の多角化が求められます。顧客数が増え、商品ラインナップが複数になってくるため、カスタマーサクセスや顧客ニーズを吸い上げ、技術反映ができる組織体制を組むことが必要不可欠です。営業やマーケティングに関しても強い個人から組織としての団体戦に挑める体制を組むことが必要です。組織構造としては、新規事業開発部署や、事業を横断的に統括する役割を設定することが求められます。
事業開発のフェーズごとの人材要件
3つのフェーズでそれぞれ求められる人材と、その人材の抱く心理的な不安要素が異なります。フェーズごとに活躍できる人材の志向性が異なるため、必ずしも、同じ人材がすべてのフェーズを担う必要はありません。人材ごとの特性、不安を把握するとともに、先回りして打ち手を検討することによって、モチベーション高く事業開発を続けられる環境を整えることが重要です。
共感によって事業を生み出すフェーズ
ビジネスのアイデアに共感し、情熱的に仕事に取り組める人材が求められます。
人材要件 |
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このような人材はチャレンジ精神がある一方で、事業リスクの重さに耐えきれなかったり、自己裁量が広すぎて不安になったりするケースがあります。
強い個人がこじ開けるフェーズ
新規事業開発に必要なスキルや知識を持ち、経験豊富な人材が求められます。
人材要件 |
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強い個人はこれまで既存事業の中でスピード感をもって高い成果を上げてきて、事業開発にアサインされることが多くあります。事業開発は一般的に結果が出るまでに時間がかかるため、自分のやっていることが本当に正しいのか、これまでのやり方で成果がなぜでないのか、という観点で不安を覚え、モチベーションが下がってしまうことがあります。
組織体制による団体戦で広げるフェーズ
これまで強い個人がこじ開けた成功ナレッジの型化を行って広げ、さらに、部門をマネジメントできる人材が求められます。
人材要件 |
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このフェーズでは、体制を構築して一気にアクセルを踏むべきタイミングですが、プロダクト開発の遅れや、顧客離脱など様々な問題が発生しがちです。このプロダクトやソリューションの未来を信じ切れず、不安を覚えてモチベーションが下がりやすくなります。
フェーズごとの人事施策
共感によって事業を生み出すフェーズ
- なぜ事業開発をするのか?
- なぜ私たちがするのか?
- 誰のためにするのか?
上記がぶれてしまうと共感が得にくくなり、モチベーション低下を引き起こす可能性があります。ベンチャー企業のように、もともと事業開発に対する思いの強いメンバーが集まっているケースではこのような施策は不要かもしれませんが、安定期~変革期にあたる企業においては共感力を高め、やりがいをもって取り組める意識を醸成していくことが必要になるでしょう。共感で組織を結びつけるために有効な例を下記に記載します。
参考施策例:
- MVVの策定
- 目的/ゴールの共通認識化
強い個人がこじ開けるフェーズ
強い個人に活躍してもらうためには、個人へのインセンティブが必要です。このフェーズで共感に頼りすぎてしまうと、いわゆる「やりがい搾取」のようにとらえられてしまうことがあります。正確に個人の成果を測るとともに、これまで高い成果を上げてきた人材があえて事業開発に取り組む意義、風土づくりなどが求められます。
やりがい搾取:労働者に給与以上の「やりがい」があると押し付け、従業員に不当な長時間労働や給与以上のパフォーマンスを求めること
参考施策例:
- 当該社員の評価制度の見直し(中長期的成果目標、プロセス評価の導入)
- 会社から期待されている部門にいる!と感じられる風土の醸成
組織体制による団体戦で広げる
プロダクトやソリューションを拡販していくためには、これまでの強い個人が築いてきた成果をプロセスとして型に落とし込み、新たに体制に加わったメンバーに対して展開していく必要があります。また、機能別に分かれた事業開発人材を正しくマネジメントし、個人の能力を伸ばしていくリーダー的な存在を社内で育てていく(もしくは外部から獲得)必要があります。
参考施策例:
- 成功体験の型化
- 事業開発人材に特化したマネジメント強化
まとめ
事業開発にはフェーズがあり、フェーズごとに求められる人材要件が異なります。自身が立ち上げた事業が成長し、市場に広く認知され、収益化するまでかかわり続けたいというメンバーもいるかもしれません。その場合は、フェーズの変化をとらえ柔軟にメンバーのスキルセットやマインドを変化させていく、もしくは、経営判断として各フェーズに特化した人材を育成・獲得していくことも成功へのカギになるでしょう。
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