2022.07.21

タレントマネジメントのメリット

タレントマネジメントには、従業員の能力開発や仕事のやりがい創出、離職率の低下などさまざまなメリットがあります。一方で、タレントマネジメントを正しく運用するためには、情報収集の体制構築や全社的な目標管理などクリアしなければならない課題も多く、デメリットといえるかもしれません。

タレントマネジメントの本来の目的は、企業課題の解決や事業の発展につなげることです。メリットおよびデメリットを理解したうえで効果的に活用することが大切です。

タレントマネジメントとは

タレントマネジメントとは、従業員1人ひとりの能力やスキルを可視化して一元管理することにより事業運営に必要な人材を過不足なく活用する人事戦略をいいます。

タレントマネジメントを適切に実行することによって、どのような能力を持った人材をどれくらい採用育成すべきかが明確になり、組織の性質、人数を適正化することができます。

タレントマネジメントのメリット

近年、タレントマネジメントを導入する企業が増えていることからもわかるように、タレントマネジメントは適切に実施すればメリットが大きい取り組みです。

従業員の能力開発

多くの企業において従業員を評価する際はパフォーマンスに関して重点的に評価する傾向があります。しかし、タレントマネジメントではパフォーマンスだけでなく、従業員の得意分野や、キャリア志向、行動特性なども評価対象に加わります。

従業員の評価が細分化されることで優れている点や不足している点などが把握しやすくなるのです。これによって得意分野は伸ばし、やりたいことには挑戦、不足している部分は学習するというように効果的な能力開発が可能になります。

企業の未来を担う人材を早い段階から育成することもできるようになります。

組織運営の効率化

タレントマネジメントによって従業員のタレント情報を収集、管理できるようになればプロジェクトチームを結成する際に人選に悩むことがなくなります。現場に人が足りなければ、すぐに社内から適した人材を見つけることができるようになり、効率的で無駄のない組織運営にも役立ちます。

適切な評価体制の構築

従業員の能力を余すことなく発揮できる環境では公正な評価をしやすく、従業員にとっても納得感があるものになります。現時点で期待されている能力、伸ばすべき能力、身につけるべき能力がはっきりと定まっているため、達成度合いが測りやすく、改善や軌道修正も実施しやすいといえます。

新しい働き方への柔軟な対応

タレントマネジメントは従業員のタレント情報を一元管理し、組織横断的に共有できるため、テレワークをはじめとした新しい働き方とも親和性が高いのが特徴です。オフィスに出社しない働き方であっても自分が何をすべきか短期的、長期的に理解できるため、評価を不安に思うことはありません。

会社側にとっても従業員に期待する能力が定まっているため、働く姿が直接見えない状況にあっても、適切に評価することができます。

離職率の低下

自分の能力が正しく評価され、適材適所が実現されれば従業員のやりがいにつながります。企業への信頼感やエンゲージメントが高まることで離職率の低下が期待できます。
従業員の状況や考えをきちんと管理していけば従業員の離職要因が把握できるため、対策を講じることも可能です。

人材不足の解消

従業員のタレント情報を把握することによって、これまで見逃されていた隠れた才能を見つけ出す機会につながります。多くの企業が人材不足に悩む昨今ですが、新規採用に臨む前に一人ひとりの人材を効果的に活用していく姿勢が大切です。

タレントマネジメントによって従業員の得意分野、性質、志向を正しく理解すれば、人材が不足している分野を補える要素が見つかるかもしれません。

タレントマネジメントのデメリット

適切に実施すればメリットが大きいタレントマネジメントですが、軌道に乗るまではデメリットもあります。

従業員の理解が必須

タレントマネジメントを実施するためには、社内全体の協力が必要です。経営層から現場の従業員に至るまで、連携して取り組んでいかなくてはなりません。そのため、タレントマネジメントの重要性や意義をしっかりと周知し、理解が浸透している必要があります。

もし、理解がおよんでいない場合、詳細で役立つタレント情報を集めるのが困難になるかもしれません。まずは管理職からタレントマネジメントについて理解を深める勉強会などを実施し、従業員へも周知することが大切です。

導入イメージが掴みづらい

​​タレントマネジメントは日本においてはまだ浸透しているとはいいがたく、初めて聞くという人も少なくありません。そのため、どのような効果があるのかイメージしづらい場合があります。

タレントマネジメントは最初に目的(ゴール)を定めることが重要です。従業員の働きやすさややりがいの創出は、あくまで副次的な効果であり、タレントマネジメントの本来の目的は経営課題への人事戦略からのアプローチです。

タレントマネジメントによって何を実現したいのかをしっかりイメージできていない場合は、成功しない可能性があります。

情報収集、情報管理が困難

従業員のタレント情報には能力、キャリア志向、生育歴、業績など、さまざまな項目が含まれます。タレントマネジメントの意義が社内に浸透していない場合には、これらの情報がうまく集められない場合があります。
そのような場合、社内に協力を呼びかけるのはもちろん重要ですが、情報収集のルールをつくってしまうのも1つの方法です。たとえば、資格を取得した場合やキャリアに関する面談をした場合などに、すぐにタレントマネジメントシステムの情報を更新するなど、決まりを作るとうまくいきます。

まとめ

タレントマネジメントを効果的に導入・実践できれば、企業だけでなく従業員にとっても多くのメリットをもたらします。ただし、導入までさまざまな制度や体制を整えなければならないことから、関連部署の負担が大きいのも事実です。

タレントマネジメントは、企業の採用・人事戦略を変革するほどの影響力を持つため、最初からしっかりと目標を設定し、計画的に導入する必要があります。メリットとデメリットをよく理解し、事前に対策を講じておくことが大切です。

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