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AIを活用してユーザーの支持を集めた成功事例
現代において、AI(人工知能)はさまざまなサービスに利用されています。ビジネスにおいてAIを活用することで、業務の効率が上がったり、正確かつスピーディーなデータ分析が行えたり、ユーザーにとって今よりももっと便利なサービスを享受することが可能になったりと、さまざまなメリットがあります。
AIを活用することでユーザーの支持を集めた有名企業の具体的な事例について詳しくご紹介していきます。
AmazonのAI活用事例
世界でショッピングサイトを展開し、独自の物流システムを抱えるAmazonは、早い段階からAIの活用に取り組んでいます。またAmazonのクラウドサービスAWS(Amazon web service)は、複数のAIサービスを提供しており、多くの企業でも活用されています。
バーチャルメイク機能
AmazonのAIを活用した事例のひとつがバーチャルメイク機能です。ネットショップであるAmazonで化粧品の購入を検討している場合、どの化粧品を購入したらよいのか迷ってしまう場合があります。実際の店舗の化粧品売り場では、メイクを試してから購入することが可能ですが、オンラインショッピングでは直接メイク用品を試すことができません。これはオンラインショッピングにありがちなお悩みです。
こうしたユーザーの不満を解消するために、AmazonではAI(人工知能)とAR(拡張現実)を活用することで、メイク用品を試せるサービスを打ち出しました。商品ページで商品を選び、自分の動画や画像を選択することで、そのメイク用品を実際に使っているかのようにバーチャルでお試しをすることができます。もしその商品が気に入れば、すぐに購入することも可能なので、スマートなショッピングが体感できます。
Amazon PollyとAmazon Rekognition
AWS(Amazon web service)が提供するAIサービスの一つがAmazon Pollyです。このAmazon Pollyは、簡潔にいうと音声読み上げサービスです。テキストの文面を音声に変換することが可能で、対応言語は24言語にものぼります。また声の種類もバリエーションはさまざまで、47種類の声から選ぶことができます。
同じくAWSのAIサービスにAmazon Rekognitionがあります。これは、高精度の画像、動画を分析するサービスです。例えば、動画や画像の中で映っている人物を判別したり、動作を解析したりできます。
この2つのサービスはAmazonが既にコストをかけて生み出した「学習済みAI」となっており、AIを導入したいと考えるさまざまな企業においても活用され始めています。
例えば音声読み上げサービスであるAmazon Pollyは、エフエム和歌山にて実際に天気予報やニュース原稿の読み上げに使われています。これにより、アナウンサーを確保せずともニュース番組を放送することが可能になりました。
AmazonはAIを自社活用するのみに留まらず、他企業のAI導入支援も積極的に進めています。
NetflixのAI活用事例
Netflixは元々、DVDを郵送する形で動画を提供していました。後に自社のプラットフォームを立ち上げて動画ストリーミングサービスへと転換し、広いシェアを誇るようになりました。多数の顧客データをはじめるNetflixの強みは、AI展開にも活かされています。
レコメンド機能
Netflixでは、膨大な顧客データをAIの活用で分析しています。その中でもレコメンド機能は、AIの活用の最たる例といえます。Netflixはレコメンド機能の強化を早期に取り組み、レコメンドに必要なアルゴリズムの開発に積極的でした。
Netflixで再生される作品の80%はレコメンド機能によって表示された作品であるという結果がでており、いかにユーザーが自分の好みに合った映像コンテンツを求めているのかというのがこのデータから推測できます。
レコメンド機能では、過去に視聴した作品から、おすすめの作品をいくつか表示してもらえる大変便利な機能ですが、Netflixではもっとユーザー心理にアプローチした施策も行っています。それは同じ映像作品でもユーザーの特性によって作品のアートワーク画像を変えているというもの。例えば、ある俳優が出演する作品をよく視聴している場合は、レコメンドで表示する作品のアートワークは、その俳優が大きく映ったアートワークを表示させ、ユーザーに視聴を促します。
このような徹底ぶりから、Netflixは特にレコメンド機能をブラッシュアップさせ、ユーザー心理を上手についており、AIを上手に活用している例といえます。
キャスティングの分析
Netflixではオリジナルの映像コンテンツも制作しています。映像制作をおこなううえで、キャスティングは重要な要素となりますが、そのキャスティングをAIが分析をおこないます。
ユーザーが視聴するコンテンツから、出演しているキャスト、視聴率、ストーリー性、離脱率などさまざまな視点からデータを集めAIに学習させることで、ユーザーにとって喜ばれるキャスティングの参考とすることが可能となります。
NetflixではAIを活用してユーザーのデータを分析し、ユーザーに支持される作品を生み出すことにつなげているため、ユーザーから飽きられることなく、多くの人々にとって長く親しまれるサービスとなっています。
メルカリのAI活用事例
フリマアプリで有名なメルカリでは、サービス開始からおよそ6年間のあいだで、数十億規模の膨大な商品に関するデータを蓄積しています。このビッグデータをもとにしたことで、ユーザーにとって使い勝手のよいAI活用サービスが提供可能となりました。
写真探索機能
メルカリでは写真探索機能というものを導入しました。スマートフォンから写真をメルカリにアップロードし、メルカリ上で出品されている同じ商品や似た商品を表示させるという機能です。メルカリのAIの技術では、機械学習と深層学習を活用しています。
このようなサービスを提供するようになった背景には、ユーザーがSNSなどで見つけた商品を探している場合や、どこのブランドの商品なのかわからず、うまく探せないといった場合に、この機能を利用することですぐに求めている商品にたどりつくことが可能になります。メルカリ内の総出品数はおよそ11億点を超えています。この膨大な商品量のなかから、AIが希望している商品を探してくれる画期的なサービスです。
AI出品機能
メルカリでは、AIを使って出品するAI出品機能の運用を開始しています。メルカリの取締役CPO濱田優貴氏によると、売るという行為を、空気のようにしたいと述べています。これはどういうことかというと、出品する手間を極力減らすことで、可能な限りユーザーに手軽に利用してもらいたいという思いから出た言葉です。これを実現するためにはAIを活用するほかありません。
通常メルカリに出品する際には、商品の写真を撮影し、メルカリ上にアップロードしますが、このタイミングで商品名やカテゴリー、ブランドなどを認識し、手動で情報を入力しなくてもオートマティックに出品することが可能です。また、商品の値決めを行う際は、どのくらいの金額で売れるかの相場についても表示され、価格を決定する際に有効な情報になりえます。
まとめ
企業としてAIの活用を視野に入れるのは珍しいことではなくなりました。自社で独自システムを構築するだけではなく、今回ご紹介したAWSのようにAIサービスを他社へ提供する企業も増えており、AI導入ハードルは下がりつつあるといえます。さまざまな活用事例を分析することで、自社AIサービスの改善点が見えてくるかもしれません。