2022.06.29

オープンイノベーションのメリットとデメリット

オープンイノベーションとは、他社が持つ技術や知識を、自社の事業に組み込む施策のことです。近年多くの企業で注目されていますが、実施するメリットとデメリットを把握しきれていなければ意味がありません。

オープンイノベーションには、自社を発展させるさまざまなメリットが存在します。反対に、自社にとってデメリットになる場合もあるので、覚えておかなければなりません。

また、オープンイノベーションのメリットとデメリットを理解したうえで実施すべきこともあります。自社のイノベーション推進をより効果的なものにするため、必ず実施してください。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションを推進することで、以下のメリットが期待できます。それぞれの内容を把握し、自社の現状や課題に当てはめてオープンイノベーションを推進してください。

  1. 技術・知識の取得
  2. 低コストかつ短期間での実現
  3. 事業推進の速度アップ
  4. 革新的な開発実現
  5. 多様性への対応力向上
  6. 企業としての弱点把握
  7. コアコンピタンスのアピール
  8. 新たな成長戦略の立案

1.技術・知識の取得

従来の事業展開では取得できなかった、新たな技術を取得できます。自社のノウハウだけでは実現できないイノベーションを、他社のノウハウで実現できるのがメリットです。技術だけでなく、新たな知識を取得できる側面もあります。自社と他社のノウハウを掛け合わせた新たなアイデアを生み出すきっかけにつながるかもしれません。

2.低コストかつ短期間での実現

他社の既存事業をベースに進めることが多いため、基盤作りにかかるコストを削減できます。ゼロから新規事業を立ち上げるよりも、短い期間で進められるのがオープンイノベーションのメリットです。既に成功している事業を参考にすることで、いち早く結果につながるのは重要なポイントです。

3.事業推進の速度アップ

低コストかつ短期間でイノベーションを実現することで、市場への浸透を目的とした推進も効率化します。事業開発の期間を短縮できるため、その後のフェーズにも好影響を与えます。事業推進の速度が上がることで、さらに新たな事業を考案する余裕も生まれるかもしれません。イノベーションによる事業推進の速度アップは、長期的な目線の恩恵も受けられます。

4.革新的な開発実現

自社と他社のノウハウを掛け合わせることで、従来の体制ではなし得なかった技術を創造できる可能性があります。他社の知識が加わることで、自社のポテンシャルを十二分に発揮できるのがメリットです。

オープンイノベーションにより、パートナー企業も考え付かなかった革新的なアイデアを発見できる可能性もあります。

5.多様性への対応力向上

オープンイノベーションは、これまでの考え方を一新する機会にもなります。さまざまな働き方が注目される昨今において、多様化への対応力は重要な観点です。他社と共創関係になることで新たな視野が生まれ、さまざまなニーズや変化に対応できる力を身につけられます。

6.企業としての弱点把握

技術レベルやアイデアなどに関する、自社の弱みを発見できるのもオープンイノベーションのメリットです。企業間の弱点を互いに補えるようなパートナー関係を築くことで実現できます。他社の技術に触れたことで自社を客観的に観察する観点が生まれます。自社の戦略を見つめ直す機会にもなるため積極的に実施したいものです。

7.コアコンピタンスのアピール

オープンイノベーションを通じて生み出された結果で自社のコアコンピタンスをアピールでき、自社の企業価値を市場に発信、定着させることが可能です。コアコンピタンスのアピールは新たな事業を開始する際の資金調達にもメリットがあります。自社ならではの強みがあることで、融資や金銭援助を受けやすくなるためです。

8.新たな成長戦略の立案

オープンイノベーションは成功、失敗に限らず、自社の新たな可能性を見出すきっかけになります。事業が成功すれば、成功実績をもとにした新たな事業を展開できます。

仮に失敗したとしても、失敗した経験を次の事業展開に活かすことが可能です。同じ轍を踏まないよう意識できるため、同じ失敗を繰り返すリスクは激減します。

他社のノウハウに触れたうえで、自社だけで成長していく方法の議論を交わすことも可能です。他社に依存しないためにも、オープンイノベーションの結果を次へ活かすことを前提に考えてください。

オープンイノベーションのデメリット

非常に多くのメリットが期待できるオープンイノベーションですが、いくつかデメリットも存在します。以下のデメリットも把握しておくことで、自社の課題やリスクを加味したイノベーションを推進できます。

  1. 利益率の低下
  2. 開発レベルの衰退
  3. 情報漏洩
  4. 他社とのトラブル

1.利益率の低下

オープンイノベーションは、共創企業との利益配分が必要です。そのため、全体的な利益率が低くなる傾向にあります。ただし、既存事業で費やしてきた時間やコストが削減できる側面もあるため、利益率のデメリットが多いとは言い切れません。

2.開発レベルの衰退

他社の技術に依存してしまい、自社の開発レベルが向上しなくなる場合があります。自社で力を入れるべき領域に、他社のノウハウを取り入れてしまうケースも少なくありません。オープンイノベーションを実施する際は、自社のリソースで補えない箇所のみに取り入れることが大切です。

3.情報漏洩

自社だけでなく他社とも連携するため、情報漏洩のリスクは高まります。共創企業に必要以上の情報を渡さないよう、セキュリティを強化してください。情報漏洩は企業の存続につながる大きな被害を生み出す可能性もあります。共創パートナーだからといって油断せず、守るべき情報は自社で管理してください。

4.他社とのトラブル

他社とパートナー関係になることで、自社では把握しきれない活動が増加し、複雑化します。企業間で何を実施しているのか把握できていないと、利益や費用負担に関するトラブルが発生しやすくなります。他社とのトラブルを防止するには、企業間で共有できる部分をあらかじめ洗い出しておくことが大切です。

メリット・デメリットを理解したうえで実施すべきこと

オープンイノベーションを推進するには、メリットとデメリットそれぞれを理解したうえで以下を実施する必要があります。自社のイノベーションを成功させるためにも、覚えておいてください。

  1. イノベーションを浸透させる風土づくり
  2. 専門組織の設立
  3. 経営層を含めた体制の構築

イノベーションを浸透させる風土づくり

他社のノウハウをベースにこれまでにない新たな事業を生み出すのがオープンイノベーションの特徴です。そのため、自社に前例のないパターンが大半を占めます。自社におけるイノベーション推進の風土づくりを徹底し、企業全体で新たな挑戦に臨むことが大切です。

専門組織の設立

オープンイノベーションにかかわる業務は、既存業務と並行するのは困難です。そのため、イノベーションを専門的に実施する部署を立ち上げる必要があります。自社におけるイノベーションの方向性や課題などを、専門組織で分析して対策を取ることで、より確実な推進が期待できます。

経営層を含めた体制の構築

イノベーションは経営トップを含めた社内全員の同意を得たうえで進めなければいけません。反対意見があるなかで推進しても思うような結果にはつながりません。経営層だけでなく、現場で動く従業員の同意を得ることも重要です。企業全体で同じゴールを目指し、歩んでいく必要があります。

まとめ

オープンイノベーションには、さまざまなメリットとデメリットがあります。他社の技術やノウハウを活用した革新のためには、どちらも把握しておかなければなりません。メリットとデメリットを理解したうえで、風土づくりなどを進めておくことも大切です。オープンイノベーション推進にかかわる組織の設立、構築なども進める必要があります。

オープンイノベーションのメリットとデメリットの把握は、自社のイノベーションを成功させるために重要なことです。双方の詳細を理解し、企業としての新たな可能性を見つけ出してください。

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