2024.04.05

ABM戦略とは

ABM戦略とは、具体的な企業を選別して1社にリソースをかけるマーケティング手法です。対象範囲が広いインバウンドマーケティングと異なり、ターゲットとなる企業に寄り添ったマーケティングをおこないます。

ABM戦略は、IT技術の進化やROIの向上を求めている企業が増えたことから需要が高まっています。新規顧客への営業や新商品への展開、既存商品の新たな展開などさまざまなケースで友好的なマーケティング手法です。

ABM戦略とは

ABM(Account Based Marketing、アカウント・ベースド・マーケティング)戦略とは、特定の企業をターゲットとして、売り上げを最大化することを目的としたマーケティングの手法です。はじめから優良顧客となる企業を絞り込んで効率よく課題を解決していきます。

この手法では、マーケティング活動やリソースを特定の戦略的なアカウントに集中させることで、個別の企業に最適なアプローチを提供します。ABMの一環として、企業の特性やニーズに合わせたパーソナライズされたコンテンツやメッセージが展開され、企業との関係を深めることが狙いです。

企業が対象

ABM戦略は、単なる広告キャンペーンや一般的なマーケティング手法ではなく、特定の企業や団体に焦点を当てた戦略的なアプローチです。この手法では、企業は優良顧客となり得るアカウントを重点的に選定し、それらのアカウントに合わせたマーケティング活動を展開します。

ABM戦略は、ターゲットとなる企業の数よりも質に重点をおき、特定の企業や団体と深い関係を築くことを目指します。具体的な企業や団体のニーズや課題に焦点を当て、それに対する最適な提案やソリューションを提供することによって長期間取引をできる顧客獲得が目的です。

ABM戦略を導入するメリット

ABM戦略は、顧客と強い関係構築を追求し、パーソナライズされたコンテンツやコミュニケーションを通じて企業との結びつきを強化します。ターゲット企業との深い理解を構築することを基にした戦略的アプローチに取り組むことが特徴です。ABM戦略は特定の企業との長期的なパートナーシップを築くことを目指します。その結果、ABM戦略は競争激化する市場環境で企業に差別化をもたらし収益拡大につなげることが可能です。

ABM戦略が有効なケース

ABM戦略は、新たな顧客開拓や商品の展開などを進めるときに活用すると効果的です。主に次のようなケースで有効です。

  • 新規顧客への営業
  • 新商品の展開
  • 既存商品の新たな展開

新規顧客への営業

ABM戦略が有効なケースとして、まず新規顧客への営業が挙げられます。ABM戦略は、特定の企業や団体を重点的に対象にし、その企業に最適なアプローチを展開する手法です。新規顧客獲得では、個別の企業に焦点を当てたターゲティングが重要です。ABM戦略を用いることで、対象企業の特性やニーズを深く理解し個別に最適化されたソリューションや提案を届けることが可能です。

これにより、企業はより的確に新規顧客の関心を引き、競合他社よりも差別化された価値を提供できます。ABM戦略は新規顧客獲得だけでなく、既存顧客の拡大や関係の強化にも適しており、個別のアカウントにフォーカスすることで戦略的かつパーソナライズされたアプローチを実現できます。

新商品の展開

既存顧客に対して新商品を展開する場合でもABM戦略が有効です。ABM戦略を進めることで、顧客ごとに異なるアプローチを可能にし、新商品の特長や付加価値を顧客に合わせて伝えることができます。

これにより、既存顧客は新商品に対する関心を高め、競合他社との差別化が図れます。また、ABM戦略は顧客との強化された関係を築く手段としても機能し、顧客ロイヤリティの向上や追加注文の促進につながります。

既存商品の新たな展開

既存商品やサービスに機能が加わるなど、新たな展開を進める場合にもABM戦略を活用する場合があります。ABM戦略は特定の企業を的確にターゲットにし、その企業ごとに最適なプロモーションや提案を展開する手法です。既存の顧客に対して新機能や新サービスを提案する場合、顧客のニーズや課題を深く理解しその企業ごとに最適な付加価値を強調することがABM戦略の強みです。

ABM戦略を効果的に進める方法

ABM戦略を効果的に進めるためには、適切なターゲットを設定したうえで自社や競合他社の分析をするなどさまざまなステップが必要です。次のようなステップで進めることが一般的です。

  1. ターゲットを選定
  2. 検討プロセスの設定
  3. STP分析や3C分析
  4. タッチポイント施策
  5. コンテンツ施策

ターゲットを選定

AMB戦略を進めるためには、まずターゲットの選定が重要です。ABM戦略は、特定の企業や団体を絞り込み、その企業に特化したマーケティング戦略を展開する手法です。選定した企業はビジネス戦略や目標と一致し、提案したサービスや製品にもっとも適している必要があります。さらに、企業の意思決定者を正確に特定することも不可欠です。

この段階での正確な情報収集はカスタマイズされたアプローチを可能にし、ターゲット企業との強固なビジネス関係を築く土台となります。選定されたターゲットは、その企業が直面している課題や機会に焦点を当て、解決策を具体的に提示することで相手企業との関係構築を強化します。

検討プロセスの設定

ターゲットの選定が終了したら検討プロセスを設定します。選ばれたターゲットに対して具体的なアプローチや戦略を検討し、成功に導くための手順を整備する重要なステップです。まず、ターゲット層のニーズや課題を詳細に分析しその理解を深めます。検討プロセスでは、各フェーズにおける戦略的アクションや営業活動のスケジュールを策定し、スムーズで効果的な展開を図ります。

また、担当するチームや役割分担、必要なリソースの確保も検討の対象となります。計画の途中で定期的に効果測定をおこない、柔軟に対応できるようにすることが重要です。検討プロセスの構築には、ターゲットとの密な連携やフィードバックをすることが不可欠であり、これによりマーケティング戦略を最適化していくことが可能です。

STP分析や3C分析

ABMの戦略を策定するにあたって、STP分析(顧客、競合、自社)や3C分析(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)といったフレームワークが活用されています。3C分析では、顧客の視点や競合他社との比較、自社の強みや弱みを評価します。STP
分析では、顧客層の細分化やターゲットの選定、差別化されたポジショニングが重要です。

これらの手法を組み合わせてABM戦略を練り上げることで、効果的な顧客ターゲティングや差別化された市場ポジショニングが可能です。ABM戦略は、重要なビジネス効果を生むために戦略的かつ緻密な計画が必要です。

タッチポイント施策

ABM戦略では、ターゲットとなる企業のタッチポイントを押さえて自社を認知してもらえるようなアプローチが必要です。タッチポイントを正しく押さえるためには、ターゲットとなる企業のカスタマージャーニーを整理し、そのなかでどの段階でどの情報やアプローチがもっとも有効かを理解することが重要です。

ABM戦略では、まずターゲット企業や団体を選定し、その企業内での意思決定者や影響力のある担当者を特定します。次に、主要なタッチポイントを明確にし、そのタッチポイントに合わせてパーソナライズされたコンテンツを提供することが重要です。これにより、企業はより効果的に自社の商品やサービス、強味などを伝えターゲット企業のニーズに適したソリューションを提案できます。

コンテンツ施策

タッチポイントによって明確になったターゲット企業の導入担当者に、興味をもってもらうためのコンテンツ施策が必要で、一般的にはebookやホワイトペーパーなどが活用されます。同じ商品やサービスであっても、アプローチする相手が異なれば訴求ポイントが異なるため、コンテンツを送る相手や内容を明確にしたうえで営業活動の準備をすることが重要です。

特定の企業に向けたコンテンツは、その企業のニーズや課題に焦点を当てることが求められます。例えば、導入担当者が抱える具体的な業務課題に対する解決策や、製品やサービスの特長がどのようにその企業に適しているかを強調することが求められます。また、ebookやホワイトペーパーは専門的な情報を提供するため、企業の導入担当者が深く理解を得られるように工夫することが重要です。

まとめ

ABM戦略は特定の企業や顧客アカウントに焦点を当て、その企業ごとに最適な戦略を構築する営業手法です。通常の広告やマーケティング手法が幅広い顧客を対象にするのに対し、ABM戦略はターゲットとなる企業や団体を選定し、それに合わせたパーソナライズされたアプローチが可能となります。

ABM戦略は営業やマーケティングチームが連携して特定の重要なクライアントに焦点を当てます。顧客のニーズや課題を深く理解し、それに基づいてターゲット企業に適したコンテンツや提案を提供することが重要です。

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