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新規事業とは?新規事業を成功させる適切なタイミングとポイント
例え現在の経営を支える既存事業が好調だとしても、今後も安定した状態で継続するとは限りません。既存事業だけに頼るリスクを避けるためにも、日々新たな事業を積極的に検討する企業も多いです。中には新規事業に伴って組織を構築し、業績向上を目指す企業もあります。
新規事業はどのように成功させていくのでしょうか。新規事業のタイミングと成功するための考え方や要因を解説いたします。
新規事業とは
新規事業とは、新しく展開する事業のことです。手掛ける事業内容は業界や企業によって多種多様となります。
スタートアップ企業にとっては、初めに収益化したビジネスが新規事業にあたりますし、既に数本のビジネスにおいて収益化に成功している企業が、さらに事業拡大のために新しく始める事業も新規事業となります。
新規事業は大きく3つのパターンにカテゴリー分けできます。
1.技術革新により新製品を創り出すケース
特にIT技術が進化を続けている昨今、IT技術を活かした新製品の開発や独自のシステム構築によるソフト開発などを新規事業とするパターンです。新しい技術で別の業種にチャレンジしてみることも可能です。
2.新たなブルーオーシャンやニッチ市場を発見し開拓するケース
時代の流れや人々のニーズを察知し、今まで誰も気づかなかった新しい市場を創り出したり発見したりして新規事業とするパターンです。ビジネスに対する鋭い嗅覚やセンスが必要とされます。新規事業を立ち上げる起業家はこのパターンで成功すると先行者利益を得られる。現在扱っている商品とは異なるジャンルの商品を企画、販売することも可能です。
3.マーケティング手法を変えてビジネスモデルを変えるケース
既存の販売方法を変えて、新しいチャネルを構築し新規事業とするケースです。ビジネスを深く理解し流通チャネルを変革したり、課題や障害を解決する行動力が必要とされます。これまでBtoCのビジネスモデルだった企業が、マーケティング手法やビジネスモデルを変えてBtoBの事業をはじめてみることも可能です。
新規事業を立ち上げるタイミング
新規事業はいつでも立ち上げることができますが、タイミングも戦略的に考えるとさらに成功率が上がります。
新規事業を立ち上げるのに適したタイミングを考えるためにはまず、企業の成長サイクルのうち、自社が現在どのフェーズであるかを知ることが大切です。成長サイクルには、主に創業期、成長期、成熟期、衰退期の4つのフェーズがあります。
1.創業期
会社を立ち上げてまだ数年以内であれば創業期といえます。新規事業をスタートしたばかりなので、事業の基盤を固めるべきフェーズです。安定した成長の軌道に乗っていない可能性が高いため、新しいことはなるべく避けて事業の地盤固めに集中したほうが良いです。
2.成長期
会社の成長期は、既存事業が軌道に乗った時期であり、従業員も前向きな気持ちとなる傾向にあります。このフェーズは、新規事業を始めるのに適したタイミングです。成長期まで会社が来れば、人員や資金面も安定しやすいので、新規事業で損失を被っても既存事業でカバーできます。積極的に新規事業を検討していくと 良いです。
3.成熟期
会社の成熟期も新規事業をスタートするには適しています。企業としての経験・スキルが醸成されてきているのであれば、確度の高い新規事業が見込めます。成熟期の会社の経験豊富な社員が主導となって新規事業を始めることで、会社が衰退期へ向かわないようにすることが大切です。
4.衰退期
会社がもし衰退期に入ってしまうと新規事業をスタートしてももはや手遅れです。衰退期は人材・資金ともに余裕がなく、新たに事業を始める余力がありません。新規事業を始めるタイミングを逃してしまった結果、衰退期に入ってしまったといえます。新規事業の展開よりも、事業からの撤退を行うか否かなど新規事業とは別の意志決断が必要です。
新規事業が必要な理由
企業が新規事業に挑戦する2つの理由を以下に挙げます。
企業の存続につながる
経済産業省では、2018年から、DX推進ガイドラインやDX推進指標を展開し、我が国の企業のDXの推進に資する施策を展開しています。
日本社会全体でデジタル化が求められており、企業としてもこの流れに適応していく必要があります。
新規事業を始めるには、時代背景は適しているといえます。新規事業を立ち上げることにより既存産業の企業をデジタル産業の企業へと変革することも可能ですし、企業を長く存続させるきっかけとなる可能性もあります。
人材育成につながる
企業が発展していくためには、人材の育成が課題となります。会社を継続的に運営し、今よりももっと成長させていくのに、人材は大切な資源です。
新規事業を立ち上げた場合、さまざまなプロセスを踏んでいきます。
たとえば、アイデア出し、企画の立案、効果検証などが挙げられます。新規事業の立ち上げは、はじめからうまくいくとは限りません。さまざまな紆余曲折を経て、困難に立ち向かい、その都度解決していく力が必要です。
このような経験を積んだ人材は、会社にとっても財産となり、将来の経営層を担う人材を育てられるチャンスにもなります。新規事業を立ち上げて収益化の軌道に乗せることができれば、会社を大きく飛躍させることができます。新規事業に携わった人材はビジネススキルとして最高の経験値を積んだといえます。
新規事業の考え方
新規事業を成功させるには、マーケティングのフレームワークも積極的に活用していくと良いです。
他社の成功事例を模倣する
新規事業であってもビジネスにおけるマーケティングの基本の3C分析は必要です。Customer(市場・顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)のうち、Competitor(競合)の成功事例を調べます。成功している競合の動向や企業規模、市場寡占状況、強み弱みを把握します。成功している競合以外にも、今後市場に参入してくると予想される企業や、自社への対抗手段といった要素についても同様の分析をおこないます。
最初に市場・顧客の分析を済ませたら、競合の成功事例をもとに、自社の新規事業がどのような価値を提供できるのか、競合の成功事例と比較した際の強み、弱みを分析します。
その結果、自社のサービスが競合に勝てるという結論に達せば新規事業をスタートさせましょう。
既存事業の棚卸しをする
既存事業が順調に行っている場合は、今の事業について一度考えてみるとよいです。具体的には、既存事業の長所、短所を洗い出し分析することです。なぜうまくいったのかというプロセスを改めて理解し客観視することで、他の事業へ活かせるようになります。既存企業の成功要素は新規事業でも役に立ちます。
棚卸しを行うと、自社の強みや弱みがわかり、今までのやってきた道筋を見ることができます。自社にどのような強みや独自性、技術力があるかがわかり、新規事業に活かしていく事ができます。
ビジネス環境の分析をする
ビジネスの外部環境と内部環境を分析するのにSWOT分析を用います。
SWOTとはStrength:強み、Weakness:弱み、Opportunity:機会、Threat:脅威の4つの頭文字をとったフレームワークです。自社の内部の状況(内部環境)とマーケットの変化(外部環境)を棚卸しするときに使える分析方法です。
そして、この棚卸しした要素により、市場機会や新規事業の課題を発見することができます。
新規事業の成功要因
新規事業が成功する要因には以下のようなものがあります。
リーダーの存在
新規事業を成功させる最大の要因は新規事業を引っ張るリーダーの存在です。リーダーのビジネスの資質や決断力、実行力が最大の要因と言っても過言ではないです。
リーダーという属人的な要因以外にも、新事業を取り巻く環境要因も成功の因果関係はあります。しかし、チームを組んで新規事業を展開していくと、他のメンバーを引っ張っていくリーダーがまずは新規事業を成功させるキーマンとなるのは当然です。よって、誰をリーダーにするかが成功への最初の意思決定になります。
新たに雇用される人材の要因
新規事業で新しく雇用される人々の教育訓練とモチベーションのアップに成功すれば、それだけ新規事業が成功する確率が上がります。
新規事業のほうが、既存事業より最初から教育訓練を熱心におこなう傾向があり、新しく雇用した人材がシステム全体の中での自己の役割の重要性を理解し、参加意識が高まればいいサービスを提供でき、さらに優秀な人材が集まってくる好循環に入ります。
そうなれば、人材も育ち、継続的に新規事業に取り組んでいくことが可能となります。
ターゲットを明確にできた場合
事業をおこなううえで、ターゲットの明確化は不可欠です。
ターゲットの潜在ニーズを汲み取り、そのうえで自社として何ができるかということを考えていく必要があります。ターゲットの具体的な人物像を考えるにはペルソナ設定も鍵になります。
ターゲットを明確にできると、該当するユーザーに刺さるものを生み出すことができ、結果として売り上げアップにつながります。
PDCAをスピーディに回せたとき
新規事業を成功させるためには、検証、改善のサイクルのPDCAを高速回転させることが大切です。新規事業はじっくり考えて煮詰まった段階で行動するのではなく、最低限準備が整ったらスタートさせてしまうことで機会損失を少なくするケースもあります。スタートしたら、市場の反応などを見てすぐに検証し改善させていきます。こうした細かい軌道修正が新規事業を成功させるための秘訣です。
まとめ
新規事業を成功に導くには、経営資源の集中的な投入と決断力が必要です。今回取り上げた新規事業成功の要因はほんの一部です。新規事業に成功するためには強いリーダーシップがある人材のもと、マーケティング戦略やタイミングも重要なことがわかりました。
新規事業に取り組むには、様々な要因を戦略的に分析し、人、物、金、情報、アイデアといった会社のリソースを最大限に発揮することが必要不可欠です。