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人材育成とは?企業における必要性や課題も合わせて紹介
企業が継続的に成長し、業績を上げるためには優秀な人材が必要不可欠です。入社当初から優秀という人は非常にまれで、多くは企業の人材育成によって能力を発揮できるようになります。では、優秀な人材に育てるためにはどのように取り組めばよいのでしょうか。
そこで本記事では、人材育成を行う上で必要な知識として、人材育成の目的や必要性と4つの手段について解説しています。人材育成がうまくいかない場合の対策にも触れていますので、自社の人材育成について考えながら読んでみてください。
人材育成とは何か
人材育成とは、企業に貢献できる人材を育成することをいいます。しかし、「仕事ができるようになる」といった単純な教育ではありません。
一人の人間としての主体性や自立性を向上させ、自分の意思で行動できるように育成することが求められます。社員一人一人の能力を引き出し、存分に発揮できる環境を整えることによって、最終的には企業の業績アップにつながっていくのです。
人材育成の目的と必要性とは
企業が一体となって人材育成を行うためには、育成する側とされる側が人材育成を行う目的や必要性を確認し共有することが重要です。ここでは、人材育成の目的と必要性について一例を紹介します。自社では何を目的として人材育成を行うのかを考えてみます。
リーダーの育成
企業経営を存続させるためには、上に立つリーダーの存在が重要です。上に立つリーダーとは、現場を仕切るチームリーダーはもちろん、企業の代表や経営陣を務められる人材のことを指します。
中小企業などは人材が限られているため、入社初期からリーダーのポジションを任せられる人材かどうかを含めて育成していく必要があります。
企業の組織力や生産性の向上
人材育成を行って能力や専門性を高めることで、個々の活躍できる分野が明確になります。その結果、社員の強みを生かした的確な業務分担ができ、生産性の向上につながります。また、一人一人のスキルが高かったとしても、チーム・企業としてのまとまりがなければ効率は悪くなります。企業としての組織力を同時に高めることで、本当の生産性の向上ひいては企業の業績アップにつながります。
離職率を下げる
1つの企業に勤めあげるという考えのもと入社する新入社員は以前と比べて少なくなり、就職3年以内の離職率は3割を超えています。
また、企業の中核として活躍している中堅社員も、学んだ能力を生かして転職することが珍しくなくなってきました。企業にとって時間やコストをかけて採用した人材、育てた優秀な人材が他社へ流出していくことは大きな痛手となります。
社員が成長を実感できる育成プランを組むことで、「企業に貢献できた」「自分の力を発揮できる場所はここだ」とモチベーション維持につながり、退職を減らす手段になる可能性が高まります。
人材育成の主な手法
人材育成をおこなううえで、どのような手法を用いるかは非常に重要です。自社の人材育成の目的や必要性に適した手法を採択できるよう、4つの手法について解説します。
OJT
OJTとは「On the Job Traning」の略で、実際の業務を経験しながら知識やスキルの取得を目指す手法のことです。実践環境での対応をその場で上司や先輩から指導を受け、効率よく臨機応変に対応できる力を身に付けられます。
多くの企業で採用されている手法であり、チームとしての組織力向上や人間関係の構築にもつながることがメリットです。一方で、育成担当者が部下の育成に長時間携わることによる負担増大や全体の業務効率の低下には注意が必要です。
集合研修
集合研修は外部講師を招いてセミナーを行う手法のことで、業務中に研修する「OJT」に対して「Off-JT」と呼ばれています。集合研修では専門性の高い講師から業界において必要な知識・スキルやノウハウを学べるため、自社では教育できない部分をカバーできる点がメリットです。
また、一度に多くの人数を教育できるため効率的のよい手法ともいえます。しかし、外部講師を呼ぶ費用がかかる点や受講する社員が現場から離れてしまう点など、企業によっては集合研修の実施が難しく感じる場合もあるでしょう。
eラーニング
eラーニングはインターネットを利用して行う人材育成の手法です。時間や場所に拘束されずにでき、OJTや集合研修に比べると取り組みやすいのが特徴です。
また、運営側は誰が受講したかを把握しやすく、教材の再利用も可能なため負担が少なくて済みます。受講側は自分の好きな場所、好きなタイミングで受けられ、リラックスして受講できます。ただし、受講態度や不明点があった場合にすぐ質問できないといったデメリットもあります。内容によってはeラーニングに向いていないものもあるため、慎重な検討が必要です。
自己啓発
自己啓発は文字通り、社員が自発的に学習する手法です。先述した3つの手法と異なり、原則企業に強制力はありません。
自己啓発では、社員は書籍やセミナーの受講、eラーニングなどで自らスキルを磨くべく勉強します。企業側は社員の自己啓発を支援するために、書籍代やセミナー代を負担するなどの環境を整えることでモチベーションを高く維持することにつなげます。スキル習得にバラつきが出てきますが、社員が自己を振り返って足りない点を自由に学べるところは大きなメリットといえるでしょう。
人材育成の課題と対策
企業によっては人材育成の目的や必要性、手法を理解しているにもかかわらず、人材育成がうまく進まない場合もあります。なぜ思うように進まないのか、考えられる課題点と対策の一例をあげます。
人材育成のための時間不足
通常業務が忙しく時間の余裕がないために、人材育成が進まないことがあります。これは育成する側にもされる側にもいえることです。
多忙なあまり、通常かけるべき時間を短縮して研修を行っても、良い効果は得られません。人材育成のための時間を確保できるように、業務分担の見直しや人員配置を工夫して、人材育成を業務として執り行える環境を整えることが大切です。
人材育成スキルや指導力不足
人材育成では社員一人一人の能力を引き出し、企業に貢献できる人材に育成することが求められます。人材育成担当者は自分が育成する社員のことをよく知り、足りない部分を把握しなければなりません。
また、部下に対して足りないスキルを的確に伝え、指導して身に付けさせる力が必要です。人材育成をする側の指導力が不足していると、当然部下は育ちません。このような場合は、企業全体で人材育成担当者のスキルアップを図ることが重要です。
非計画的で基準が設けられていない
「何のスキルを」「いつまでに」「どのくらい」習得できなければならないかが不明瞭だと、計画的に人材育成を進められません。
効率よく人材育成を進めるためには、基準に沿って計画を立てるとともに、社員全員が共通認識できるようにしておくことが必要です。また、人材育成の計画と人事評価を連動させることで、人事評価の負担を軽くすることも可能になります。
まとめ
本記事では、人材育成を行う目的や必要性、4つの手段について解説しました。企業の発展に貢献できる人材を育てるためには、人材育成とはどのようなもので何を目的として行うのかを企業全体で共通認識しなければなりません。
また、効果的に人材育成を行うためには、自社に合った手法を取り入れることが重要です。自社に最適な人材育成方法とはどのようなものか、じっくりと考えて取り入れてください。