2021.12.14

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義や課題を解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞いたことはあるものの「詳しい意味や注目されている理由が分からない」と悩まれている方も多いののが実情です。

本記事では、DXの概要や注目の理由について、事例も含めて解説していきます。

デジタルトランスフォーメーションとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とはDigital Transformationの略となり「テクノロジー技術が世の中に浸透することによって人々の生活を豊かに変革すること」を意味します。

もともとは2004年にスウェーデンの大学教授であるエリック・ストルターマン氏が提唱した概念ですが、日本では経済産業省が以下のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
引用:経済産業省「DX推進指標とそのガイダンス」

分かりやすくいうと「企業がデジタル技術をビジネスに取り入れ、人々に変革を行うことや従来までのアナログ業務を自動化し、働き方に変革をもたらすこと」です。

つまりDXは、ビジネスにおける活用から社会的に影響を与えることまで幅広い意味で活用される言葉になります。

デジタルトランスフォーメーションが注目される理由

DXは以前から話題に上がることが多かった分野ですが、様々な分野でデジタル化が進んだことにより、必要性が広く認識されたといえます。

ここでは、DXが注目されている主な理由について詳しく解説していきます。

技術革新の影響

DX注目の流れには、近年のテクノロジーの進化も影響していると考えられます。

特に海外では、GAFA(Google、Amazon、旧Facebook、Apple)の4社を中心に世の中に変革をもたらしており、世界中から注目を集めています。日本の企業においても、今後はデジタル化に取り組まなければ生き残ることは厳しいといえます。

また技術革新の後押しもあり、スマートフォンをはじめオンライン環境が多くの方へ普及したことも大きいです。

そのため世の中の変化に対応するためにもDXに取り組み、デジタル化を行っていくことが重要です。

2025年の壁問題

2025年の壁問題とは「DXレポート(経済産業省)」の中で書かれた「DXが進まなければ2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」という警告のことです。

セキュリティや人材不足など複数の項目が問題視されていますが、中でも時代遅れの基幹システムとされる「レガシーシステム」が企業の事業機会を失うと危惧されています。

そのため今後は古いシステムを一新し、ITやデジタルの新しい技術に予算を投資する必要があります。

リモートワークの影響

近年の生活様式の変化により働き方が変化したことも、DXが注目された理由の一つです。

従来までは会社に出社するのが当たり前でしたが、リモートワーク・在宅ワークの導入が推奨されました。

日本ではなじみがなかったリモートワークですが、導入すると効率性に気がつくことやDXの重要性を認識した企業も多いはずです。

時代の変化に応じたデジタルの活用は必要不可欠なため、新しいことに取り組む姿勢が重要であると考えられます。

デジタルトランスフォーメーションにおける課題

DXは推奨されているものの、人材不足などが原因となり、今後は簡単に導入できないことも考えられます。そのため早めに人材の確保や育成も踏まえて考えることが重要です。

ここでは、DXにおける課題について解説していきます。

IT人材が不足している

DXに取り組む企業が増加しない理由として挙げられるのが、DXやIT分野の人材不足です。エンジニアをはじめとした現場で活躍できる人材だけでなく、経営側の人材も不足していることが問題視されています。

また経済産業省の発表によれば、2030年にはIT分野において45万人以上の人材不足が危惧されており、DXを推進するうえでは致命的な課題だといえます。

したがって今後のITの人材不足に備えるためにも、今からIT人材の確保・IT人材としての育成を軸に行っていくことが重要です。

経営者の明確な目標がない

DXに取り組むうえでは経営側の目的や戦略の明確化が重要です。もし明確化されていない組織であれば従業員も方向性を定められず、会社全体で中途半端な取り組みになってしまいます。

そのため、まずは経営側のDXに対する正しい理解、そして従業員に向けてDXに取り組む目的やビジョンの共有を重要視しましょう。

またDXではまったく新しい取り組みとなることも多いため、必ず定期的な確認や改善などを行うことが重要です。従業員の意見を積極的に取り入れることも、DXに取り組むうえでは効果的な方法になります。

デジタルトランスフォーメーションに不可欠な人材

DXを実現するために必要な人材はITの知識や経験だけでなく、ビジネス観点での考えや取り組みができる必要があります。なぜならDXの推進は企業としての方向性にも関わるため、先を見据えて考える必要があるためです。具体的には以下のスキルが必要とされています。

  • ITの基礎スキル
  • AI・ブロックチェーンなどデジタル分野で最先端の知識
  • プロジェクトの管理スキル

DXは1人で取り組むことは少なく、基本的にチームとして携わることが大半です。そのためDXの実現にはプロジェクトをまとめ上げるマネジメント要素のスキルも重要です。

またDXのチームでは以下の職種で編成されます。

  • プロデューサー
  • PM(プロジェクトマネージャー)
  • エンジニア・プログラマー
  • UXデザイナー
  • データサイエンティスト・AIエンジニア
  • アーキテクト

職種によっても必要な知識やスキルが異なるため、バランスよく人材を集めチームの編成を行いましょう。

デジタルトランスフォーメーションの事例

DXの活用は業界を問わずに行えるため、国内や海外を問わずにさまざまな事例があります。ここではDXの中でも、社会に大きく影響を与えた事例について詳しく解説していきます。

ビジネストランスフォーメーション領域のBMW i Visualiser

AR(拡張現実。実在の光景にバーチャルなオブジェクトを重ねて表示する技術のこと。)を活用したアプリ「BMW i Visualiser」は、自動車販売を行っているBMW社がDXとして取り組んだ事例です。

こちらは、好みのカラーやデザインの自動車を選び、好きな角度で眺めることができるアプリです。

ライトなどの細かい部分もカスタマイズできるため、実物に限りなく近い映像を体験できる点が特徴です。店舗に行くことが当たり前だった自動車業界では新しいアイデアであり、新規客の獲得にも効果的です。

デジタルエコノミー領域のJapanTaxi

タクシーの配車アプリである「JapanTaxi」は、日本のタクシー業界を大きく変化させたDX事例です。

このアプリを活用すれば外で待つことがなく、好きなタイミングで好きな場所にタクシーを呼び出せます。

また乗車時には乗車場所と降車場所が決まっているため、目的地に到着する前でも会計ができる点が魅力的なポイントです。多くの人にとって便利なサービスとなり、社会に与えた影響も大きいビジネスモデルだといえます。

まとめ

デジタル技術が進化する現代では、どの企業においてもDX推進が不可欠です。しかしIT人材不足などの影響によって、DX推進を行いたくても行えない状態になることも十分に考えられます。

そのため早めにDXに向けた対処を行い、時代の流れに取り残されない状態を目指す必要があります。

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