2023.09.26

5Gとは

5Gとは、第5世代移動通信システム(5th Generation)のことを指します。前世代の通信規格である4Gと比較すると多数同時接続や高速大容量、超低遅延などが5Gの特徴として挙げられます。5Gは携帯電話だけでなく、そのほかのデバイスやシステムなどについても接続性を向上させることが可能です。

5Gを実用化することによって、遠隔医療や自動運転、スマートオフィス、スマートホームなど人々の生活やビジネスで利便性が高まったサービスを展開できます。今後さらに、5Gの需要が高まると見込まれています。

5Gとは

5Gとは、第5世代移動通信システムを意味しており、5th Generationを略した名称です。2020年3月より4Gの次世代規格としてサービス開始しました。5Gはビデオトラフィックの増加への対応が誕生した背景の1つであり、年々普及率が高まっています。

5Gが登場した背景

5Gが登場した背景として、ビデオ会議やストリーミングなどのビデオトラフィックの増加に対応することが挙げられます。世界のビデオトラフィックは、ストリーミングやビデオ会議、仮想現実などのビデオ関連の技術向上が進んでいることが特徴です。5Gは膨大な数のデバイスをサポートできる機能があるため、過密なネットワークを緩和することが可能です。

5Gと4Gの違い

5Gの通信速度は4Gの20倍と大幅に速くなっています。そのほかにも同時に接続できる台数や遅延面でも、遅延は1/10、同時接続台数は10倍と4Gと比べて大幅に改良されています。

5Gの特徴
通信速度 4Gの20倍
遅延 4Gの10分の1
同時接続台数 4Gの10倍

5Gの普及率

総務省が2022年に発表した5Gの整備状況(2021年度末)によると、2022年3月末の時点で、全国で93.2%のカバー率です。都道府県別にみても、すべての地域で70%を超えており、日本で5Gを利用できる場所は多いといえます。

5Gの整備状況(令和3年度末)
画像出典:5Gの整備状況(令和3年度末(2021年度末))(総務省)

5Gの特徴

5Gには次のような特徴が挙げられます。

  1. 高速・大容量
  2. 多数同時接続
  3. 超高信頼・低遅延

高速・大容量

5Gの特徴として通信速度が飛躍的に向上している点が挙げられます。大容量の高速通信に対応しつつ、電波が飽和状態にならないように3.7Ghz帯や4.5Ghz帯(4Gでは3.6GHz以下)を活用していることが特徴です。

広帯域な高周波を使うことにより、大容量であっても安定した通信ができるようになります。周波数が高いと遠くまで電波が届きにくい特徴がありますが、5Gでは電波を絞ることで特定の方向に集中して発射できる技術であるビームフォーミングを使っています。

多数同時接続

5Gでは基地局1台に対して、同時に接続できる端末が4Gと比べて大幅に増えています。4GではPCやスマートフォン数台まで接続可能だったのが、5Gでは100台程度まで同時にネット接続が可能です。モバイル端末以外にも ウェアラブルデバイスや家電といった機器を活用したネットワーク接続もできます。

超高信頼・低遅延

5Gではデバイスやサーバーにおける物理的な距離を縮めることにより、通信時間を短縮するエッジコンピューティングとよばれる技術が特徴的です。エッジコンピューティングの目的として、デバイスから基地局、設置したサーバーと通信経路が近いことからリアルタイム性を確保できます。

通信の遅延が減ることによって、4Gと比較してさらに安定した接続ができるようになりました。そのため、クラウドゲームをする場合でも通信の遅延をそれほど気にすることなくプレイすることは可能です。

5G実現による影響

5Gを実現することで、次のようにさまざまな分野で影響があります。

  1. ビジネスへの影響
  2. 経済への影響

ビジネスへの影響

5Gの影響により、2035年までに12兆ドル(約1,680兆円)の商品やサービスが誕生すると試算されています。さらに、5Gのモバイルチェーンでは2035年までに3兆5,000億ドル(約490兆円)の収益を生み出すと予想しています。

参考:The 5G economy: How 5G technology will contribute to the global economy(IHS Economics & IHS Technology)

5Gはさまざまな業界にも影響を及ぼすとされています。小売業ではモバイルエクスペリエンスによりカスタマーエンゲージメントを向上することが可能です。例えば、仮想現実や拡張現実を活用することで、ユーザーにより有益なサービスを提供できることが考えられます。

経済への影響

5Gを実現することで、これまでになかったような商品やサービスを生み出すことが可能です。ワイヤレスインターネットアクセスを強化することで、ビデオコンテンツやストリーミングなどでユーザーの動向をサポートすることが可能です。ユーザーだけでなく業界全体がワイヤレスインターネットアクセスによるメリットを受けることになります。

さらに、5Gの特徴であるネットワークの遅延が少ないことや高い信頼性を活用して、自動運転や遠隔手術などのこれまでにない技術を展開できるようになりました。5Gによる大規模マシンタイプ通信を実現することで、さらに業務の最適化につなげることが可能です。

5G実用化で実現できること

5Gの実用化により、次のことができるようになります。

  1. 遠隔医療
  2. 自動運転
  3. スマートオフィス
  4. スマートホーム

遠隔医療

5Gの特徴である高速通信や遅延が起こりにくい特徴を活かして、遠隔医療を実現しています。遠隔医療の導入が進むことで、医師が不足している地域の課題解決につなげることが可能です。このため、5Gを活用により医療における地方と都市部の格差を小さくすることにもつながります。さらに、リモートコントロールできる医療機器を使うことによって、幅の広い診療を受けられるようにすることが可能です。

自動運転

車の自動運転も5Gの特徴である遅延しにくい点が活かされています。自動運転をする車が増えることで車間距離を保ちやすくなり、安全面でメリットがあります。完全自動運転を実現させるために、車の状態やインフラをはじめとしてさまざまなデータを収集して、スピーディーに反映させることが必要です。そこで、安定した通信環境や大容量の通信をできる環境が求められます。

スマートオフィス

スマートオフィスとは、AIやIoTをはじめとしたIT技術を使うことで高速通信を提供できる環境つくりを推進するオフィスのことです。パソコンやスマートフォンなどさまざまなデバイスに情報処理能力を設定することで、オフィスのスマート化につながります。

スマートオフィスを導入することで、どこでも働けるようになるほか、業務効率化や生産性の向上も期待できます。

スマートホーム

スマートホームとは、AIやIoTなどの技術を活用することにより快適な生活にすることが目的です。スマートフォンやスマートスピーカーなどの機器と住宅設備や生活家電などを接続することが目的です。

スマートホームを導入することで家電の操作がシンプルになったり、節約できたりなどさまざまなメリットがあります。さらに、遠隔で鍵の開閉ができるスマートロックを導入することでセキュリティ強化をすることが可能です。

まとめ

5G(5th Generation)とは、高速大容量や多数同時接続、低遅延が特徴の第5世代移動通信システムのことです。日本では2020年からビジネス分野で導入されはじめ、社会に大きな技術革新をもたらしています。

5Gを実用することによって、遠隔医療や自動運転、スマートオフィス、スマートホームなど人々の生活における利便性を高めることが可能です。今後さらに、5Gの導入が進むことが見込まれています。

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