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幹部育成と新規事業開発を実現。人材育成プログラムの「伝統化」を支援――株式会社BOD
東証プライム企業のバックオフィス部門・人事部門が子会社として独立した、株式会社BODグループ各社。事務代行や物流、システム導入支援など、あらゆる業務の代行で顧客をサポートしている。2017年6月に事業活動を開始してわずか3年で売上高30億円に到達し、今後は直営による事業規模拡大を通じて、売上高100億円の到達を目指している。
話を伺った方
代表取締役社長 田中大善様(画像左より2番目)
人事部部長 奥山 佳祐様
リブ・コンサルティング 内海 良介(画像右)
EXECUTIVE SUMMARY
- BODは設立3年で売上高30億円に到達し、組織も順調に成長を続けていた。その裏で、事業成長に対して組織の成長が追いついていないという状態が課題だった。その中でも、特に幹部人材の育成を重要課題とした同社は、経営幹部向け研修の実施を決断した。
- リブ・コンサルティングは、同社の人材育成制度「めいくわんプログラム」の実施を支援。2021年度の第1期には、次世代幹部候補の育成プログラムを行った。その後、「めいくわんプログラム」は他の従業員を対象とした研修プログラムにも発展し、BODの人材育成の文化として定着した。
事業成長に伴い人材育成に着手
―リブ・コンサルティング 内海良介(以下 リブ内海)まずは、BOD様が弊社に支援を依頼することとなった背景についてお聞かせください。
―BOD 田中 様(以下 田中)BODではかねてより、利益の一部を従業員の成長に還元すべきという思いを抱いていました。「売上高100億円」という目標を掲げ、順調に売り上げを伸ばしていましたが、設立から約3年でどこか「行き詰まっている」という感覚がありました。そこで、かねてより抱いていた教育研究費の予算を本格的に確保していこう、まずは「幹部人材育成」に注力しようと考えたのです。
私は経営者という立場から、常に新たなビジネスの方向性を考えなくてはいけません。しかし、新たなビジネスチャンスは、お客様とお会いしている従業員だからこそ見えることもあると思っています。
従業員が、マーケティングや財務諸表などの知識を得ることによって、トップダウンだけでなくボトムアップからも新たなアイディアが生まれるのではないか。それが実現できれば、弊社の将来にとって良いのではないかと考えました。
―リブ内海 その結果生まれたのが、次世代経営幹部育成プログラム「めいくわんプログラム」なのですね。BOD様には、株式会社HRマネジメントという研修支援を行う子会社もありますが、なぜ同社ではなく、外部に依頼しようと考えたのでしょうか?
―田中 グループシナジーの観点であれば、HRマネジメントにすべきだったと思います。しかし、今回の人材育成プログラムでは外部への依頼を通じて、そのエッセンスをグループ会社の研修事業にも活かしていきたいと考えました。
―リブ内海 そんなお考えもあったのですね。外部へ依頼するにあたり、どのような決め手で弊社を選んでいただいたのでしょうか?
―田中 リブ・コンサルティングを知ったきっかけは、弊社の顧問からの紹介でしたが、はじめてリブ・コンサルティングの皆さんと面談したときに、「ここだ!」という直感があったのです。そう思えるほど、貴社とは馬が合いました。
―BOD 奥山 様(以下、奥山) リブ・コンサルティングとの面談では、皆さんの明るさや熱量に大いに引き込まれました。私たちの相談内容に対して、真摯に耳を傾けつつ「大丈夫です。絶対いいものができます」と断言する姿勢に、思わず期待したくなったんです。
―リブ内海 弊社もBOD様に直感的に感じるものがありました。弊社は「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」という経営理念を掲げており、”100年後を良くする会社”を「インパクトカンパニー」と名付け5つの定義を定めているのですが、それにBOD様が合致していると感じたんです。それで私たちも貴社に貢献したいという強い気持ちを持ちました。
次世代幹部育成プログラムで新規事業を実現
―リブ内海 BOD様の人材育成プログラムは「めいくわんプログラム」と名付けられました。この名称にいたった背景を教えていただけますか?
―田中 「めいくわん」という言葉には、1秒の業務効率化、1円の売上創出、1%の利益改善のように、ゼロから何かを作るという想いが込められています。
弊社は一つの会社のいわゆる【コストセンター】を分社化したのが活動の始まりです。そのため、営業経験者が少なく、コツコツと目の前の実務を遂行することが多いため、自分から発言したりする機会が少ないのが現状でした。そこで、人材育成プログラムでは自分の意見を表明する・発信することを通して、0→1を体感する場所を提供したいと考えたのです。
―リブ内海 田中社長の考えが見事に体現されているコンセプトだと思いました。プロジェクトをスタートさせた2021年度は、「めいくわんプログラム」の第1期として次世代幹部育成プログラムを実施しました。プログラムは公募選抜制で、月1回、参加者が1日かけてリーダーシップや経営などのテーマで勉強を重ねていきました。
―田中 プログラムでは、参加者に普段見ることのない弊社の経営に関する数字を、すべてオープンにしました。次世代幹部候補者の研修である以上、会社の実態を見せることが正しい姿勢だと考えましたので。実際、参加者たちは生の数字を見て驚いていました。
―リブ内海 会社の財務諸表をもとに勉強するというのは、参加者にとって貴重な経験になったと思いますし、会社の経営について当事者意識を高める機会になったと思います。それ以外にも、プログラムにはさまざまな工夫を凝らしていますよね。
―田中 そうですね。例えば、「厳しさのある教育を施してほしい」「アウトプットの機会を増やしてほしい」という、2つのオーダーをリブ・コンサルティングに出しました。
―リブ内海 田中様からの要望を受けて、勉強会では実際に経営に関する係数を読み込んで、考察した内容を発表するといった課題を出しました。その内容を採点し、点数が低い参加者にはイエローカードを出して、累積すると次回以降の勉強会には参加できないというルールも設けたのです。
とはいえ、これだけではプログラム全体が殺伐とした空気になってしまいます。そこで、オンボーディングの段階でゲームを取り入れたり、他の参加者への貢献が採点にも影響するという制度を取り入れました。参加者全員の学びを活性化させて、協調性を損なわせることなく切磋琢磨できる環境を作っていきました。
―田中 第1期生の「めいくわんプログラム」では、「事業創造」というテーマを掲げました。研修の最終回では卒業制作という形で、経営陣の前で新規事業のプレゼンをする機会をつくりました。
そこでMVPに輝いたアイディアは、実際に事業化をさせました。2022年度を準備期間として、2023年度にソフトランディングさせた同事業は、初年度の時点で累積損失を解消しました。
第一回MVPに輝いた従業員は、いまでは香川県高松市にある弊社事業所「高松BPOセンター」の所長から東京池袋の本社へ単身で転勤し、グループ全ての管理本部長に抜擢されています。
第二回MVPに輝いた従業員は、新卒3年目で、最速の課長へ昇格を勝ち取っています。
―リブ内海 すでに成果が生まれている点に感服しました。
―田中 この従業員に限らず、「めいくわんプログラム」を通じて1年間さまざまなことを体験したことで、経営について当事者意識が育まれたと思います。
会社全体の人材育成プログラムに発展
―田中 2021年度に第1期生の研修プログラムを実施して以降、「めいくわん」という名称は社内にも広く浸透しました。現在では、グループの教育プログラム全体を「めいくわんプログラム」と名付けて、先ほどの次世代幹部育成プログラム以外のプロジェクトも進行しています。
―リブ内海 例えば現在は、次世代幹部育成プログラムとは別に、「めいくわんネクスト」というプログラムを実施していますよね。
―田中 そうですね。「めいくわんネクスト」は経営幹部ではなく、課長や部長など次世代のマネージャーを目指す従業員を対象としています。同プログラムでは、参加者の8割を公募で募集しています。そして、より優秀な従業員に多く参加してもらえるように、残り2割はマネージャーからの推薦によって選抜しています。
―リブ内海 2021・2022年度に実施した次世代幹部育成プログラムでは、「新規事業開発」「組織開発」「組織文化の醸成」という3つの目的がありました。「めいくわんネクスト」では「新規事業開発」の部分を「業務改善」に変えて、実際の現場の問題解決に焦点を当ててカリキュラムを組んでいます。
―田中 「めいくわんネクスト」の最終プレゼンでは、従業員たちの活気あふれる姿を見ることができます。また、最終日に行われる打ち上げには私も参加するのですが、普段接することのない従業員と話せるとても大切な時間になっています。
―リブ内海 従業員の皆様だけでなく、田中様にとっても大事な機会を生み出しているのですね。「めいくわんプログラム」を続けることによって、どのような変化が社内に生まれていますか?
―田中 過去に「めいくわんプログラム」に参加した従業員が、後輩に参加を促すようになったり、めいくわんで学んだことを自部署で教えたりして、フレームワークやキーワードが社内全体の共通言語になってきています。過去の参加者が参加を勧めることによって、会社全体の学びの裾野が広がっていますね。
―奥山 現在、私は教育研究費の使い道について一任されており、ある程度の裁量を持って従業員に施すべき教育を決められる立場にいます。どうしても予算を超えそうな場合では、経営会議にて役員陣に提案し、稟議が通るように説得します。
こうしたアクションが取れているのは、私自身も「めいくわんプログラム」で多くのことを勉強させていただいたからだと思っています。
「めいくわんプログラム」をBODの伝統にしたい
―リブ内海 BOD様への支援を通じて、田中様への人材育成にかける並々ならぬ想いをひしひしと感じます。その想いの源泉には、どのような考えがあるのでしょうか?
―田中 私は、BODをトップダウンによって成り立つ会社にしたいとは考えていません。どのように小さな意見であっても、その意見が採用される瞬間がある会社にしたいのです。
例えば、弊社のキャッチコピーである「人をつなげる、未来へつながる」は、アルバイトも含む全従業員による公募によって生まれました。結果、ある営業所で働く女性従業員のコピーが採用されたのです。
弊社の業務における必需品である「作業マニュアル」のコンテストも実施しています。こちらも全従業員が参加して、素晴らしいマニュアルを作成している従業員を表彰しています。
―リブ内海 会社にまつわる物事に対して、全員が参加できる機会を作ることに意識をめぐらせているのですね。今後、「めいくわんプログラム」をどのように続けていきたいのかをお聞かせください。
―田中 「めいくわんプログラム」は、BODの伝統にしていきたいと考えています。伝統にするということは、この取り組みを続けることが必須条件です。そのためにも、事業によって生まれた利益の一部は、従業員に還元し続けるという姿勢をつらぬいていきたいと思います。
リブ・コンサルティングに支援を依頼したことで、人材育成や組織づくりに関するさまざまな知見が得られました。2023年度にはそれを参考に経営幹部合宿も実施しました。今後はクライアントと支援会社という枠組みを超えて、さらに密接な意見交換ができるパートナーとしての関係性になりたいですね。
―リブ内海 ぜひ今後も、BOD様のプロジェクトを支援させてください。