2023.09.14

SlerがChatGPTを活用したAI ハッカソンの狙いとは――福島コンピュータシステム株式会社

福島コンピュータシステム株式会社

福島コンピューターシステム株式会社(以下FCS)は業務系システム開発から制御・組込系システム開発、さらに再生可能エネルギー・医療・ロボット関連の復興関連システムなど、数多くのプロジェクトで質の高い開発・設計、そして多くの優秀なエンジニアを輩出している。 IT系の開発会社は、一般的に働く環境がハードだといわれている中、ホワイト企業認定も受けている。高い定着率を誇り、実力を持つ従業員が長く勤められる会社になっている。

話を伺った方
執行役員 CDO 兼 PRセンター長 本多 悟様(画像左)

インタビュアー
リブ・コンサルティング ACROBAT 所長 森 一真(画像右)

EXECUTIVE SUMMARY

1. リブ・コンサルティング(以下リブ)によるAI ハッカソンのコンサルティングを受け、FCSの本多氏は生成型AIの活用により、企業のデジタル変革を推進するとともに、新たなビジネスチャンスを創出する可能性を示唆した。

2.FCSのメンバーが生成型AIの活用について学び、実際に手を動かして体験することで、その可能性を具体的に理解することができた。また、ハッカソンの結果は、社内でのムーブメントを作り、生成型AIの活用に対する理解を深め、社内での取り組みを加速させるきっかけとなった。

若手の声を汲み取り、AI活用を全社に広めていく

―リブ FCS社の事業について、改めてご紹介いただけますか。

―本多 福島県を本社に東京、北関東に拠点を展開しており、業務系、制御系の受託開発やソリューション販売、メーカー、SIer向けに派遣やSESなどを提供し、アプリケーション、Webシステム、クラウドPaaSによる高速開発を強みとしています。

―リブ その中で本多様の役割は何でしょうか。

―本多 経営視点としては執行役員として、事業部門と経営層との橋渡しを行っています。事業視点ではCDOとして、社内のデジタル推進やDXの活用をメインに担当しております。また、兼務でPRセンターのセンター長として、DX推進部門とリサーチアンドデベロップメントイノベーション(RDI)という部門を持っており、社内外でDX推進と先端テクノロジーの調査研究を行っています。

―リブ 本多様の役割は多岐に渡っていますね。CDOとして企業のデジタル変革を推進するとともに、新たな技術の研究開発にも取り組り組まれており、これらの役割は、企業がデジタル時代に適応し、競争力を維持するために不可欠なんですね。

―リブ 今回当社に「AI ハッカソン」をご依頼いただいた背景を教えてください。

―本多 2023年2月から、ChatGPTが注目され、APIもリリースされました。しかし、現場での業務におけるAI活用の温度感は低く、経営層との間に大きな剥離がありました。たまたまリブ・コンサルティングでのChatGPTに関するセミナーを見つけ、セミナーでの発信内容がとても先進的だったため、もう少し深く話を聞いてみたのがきっかけですね。

―リブ ありがとうございます。優秀なエンジニアを多く育ててらっしゃる御社であれば、AI活用の抵抗も少ないと思っていましたが、生成型AIの活用状況はいかがでしょうか。

―本多 生成Ai活用の流れとして説明すると、今では社会的ムーブメントになっていますが、2022年9月に当社の若手メンバーが社内でGPT-3についての研究発表を行ったことがありました。当時、多くの社員もAI活用への熱がなかったため、私を含めて小規模で勉強会という形で情報をシェアしてもらいましたが、GPT-3がSQLを生成する能力に驚き、AIがビジネス活用できるまでに進化したのかと驚きました。

―リブ デジタルネイティブである若手の方からこのような発表があるのは素晴らしいですね。実際に社内活用に繋がったのでしょうか。

―本多 上記の発表のタイミングからChatGPTを活用して、社内の生産性向上に活かせないかと思っていたのですが、数か月後にAPIがリリースされ、若手メンバーと協力し、社内のコミュニケーションツールである「ZAWAZAWA」にChat機能を追加しました。

この機能は、誰も返信しない時に自動で返信するというもので、ChatGPTにも活用しています。

―リブ 面白いソリューションですね(笑)各社社内のコミュニケーションツールは異なると思いますが、リアクションの有無によって発言するモチベーションは変わると思います。「ZAWAZAWA」にもChatGPTを活用されていますが、従来のAIとの違いを感じられましたか。

―本多 生成型AIの学習済みAIと文章の生成能力が非常に高いところに驚きました。特に、まるで人間と会話しているかのように自然にやり取りができ、SQLやプログラムコードの生成能力は印象的でしたね。

生成型AIは、従来のAIとは異なり学習済みのAIと文章の生成能力を持っています。これにより、生成型AIは、業務系システムの開発や運用において、新たな可能性を示しています。

企業の成長と発展のため、外部のナレッジを自社に吹き込む

―リブ 今回の「AI ハッカソン」のように、過去に外部を招いた研修は行われていましたか。

―本多 かなり力を入れて実施しておりまして、リーダー研修やコーチングの研修、マインドの研修など、様々なテーマで研修を実施しています。これらの研修は、社員のスキルアップやマインドセットの形成を支援するためのものであり、企業の成長と発展に寄与していると考えています

今回は、生成型AIの活用に対する理解を深めるために、リブ・コンサルティングのAI ハッカソンを実施しました。

―リブ AI ハッカソンはワークショップ形式で、ChatGPTを活用することを目指しています。改めてハッカソンの内容を説明すると、ChatGPTの思考アシストを活用しながら、自社の中でChatGPTを活用したDX施策のアイデア出しやサンプルデータを使った実験を行い、当社サポーターの補助のもと、ユースケース開発を体験いただきます。

実践こそ最良の学び。ChatGPTに触れ、ヒントを探る。

―本多 事前に森さんにて各チームに分けていただき、そのリーダー層に普段どのような仕事をしているかヒアリングいただけたところがビジネスとの結びつきに繋がったと思います。

―リブ AI ハッカソンは、ChatGPTをビジネス活用することを目指しています。そのため、どのようなところにChatGPTを活用できそうか、ヒントを探る上で事前のインプットの有無で参加者の熱量やアウトプットの質が変わってきます。

―リブ 今回のAIハッカソンを終えて、どのような影響がありましたか。

―本多 ワークショップ形式であることや、実際に手を動かして体験することで、生成型AIの可能性を具体的に理解することができました。まさに「実践は最良の学びである」と実感しました。また、ハッカソンの結果は、社内でのムーブメントを作り、生成型AIの活用に対する理解を深めるきっかけとなりましたね。

集合型ワークショップで知の集合を高めあう

―リブ 先進テクノロジーの研修は基本的に座学で単独で学ぶものが多く、集合型のワークショップにするのも大きなポイントだと感じています。

―本多 仰る通りで、普段のエンジニアのナレッジシェアは特に制限を設けているわけではないのですが、企業ごとにファイヤーウォールをかけているため、機密情報だけでなく普段の働き方自体でも意見共有することは限られていました。今回の取り組みでは、共通する悩みや個々独自の課題が生じ普段知りえないペインを意識することで横の繋がりが深まったようにも感じます。

また、余談ですがハッカソン終了後に生成AIの社内活用の進捗を社員から聞かれたりとかなりの熱量があったように感じられます(笑)

―リブ それは嬉しい声ですね!さらなるビジネスにおける生成AIの可能性について教えてください。

―本多 生成型AIは、文章を読んだり、書いたり、探したりという業務に大きな可能性を持っています。これにより、業務の効率化や新たなビジネスチャンスの創出が可能になります。企業がデジタル時代に適応し、競争力を維持するために重要な要素になると考えています。

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