COLUMN
【LiB Mobility経営 創刊号】
カーディーラー経営フォーラム2021春_フォーラムリポート
2021年3月、リブ・コンサルティングは「カーディーラー経営フォーラム 2021春」をオンラインにて実施しました。
フォーラムは4部構成で、カーディーラー経営に役立つマーケティングやDXなどについて幅広く網羅しました。
この記事では、フォーラム第1部の基調講演「未来は今創られる2021〜ニューノーマルな変革を目指して〜」にてお伝えさせていただいた、窪谷隆志マネージャー(リブ・コンサルティング、モビリティインダストリー)の講演内容を紹介します。
カーディーラーのDX
新型コロナの影響を受け、カーディーラーではオンライン商談の仕組みを導入した企業が増えました。社内においてもオンラインの会議や研修が実践されるようになりました。
DXの取り組みという点から見ると、カーディーラーは今、DXの成功事例を着々と作っている段階といえます。
今後は、MaaS、シェアリング、サブスクリプションサービス、DtoC(ダイレクトtoコンシューマー)が普及し、新たな社会基盤の構築や生活様式の確立につながっていくと予想できますし、このような変化を支える技術も進化しています。
例えば、VRやARを活用したお客様への資料提供ができるかもしれません。そのために必要な通信技術として5Gの普及も進んでいきますし、POSデータやEコマースを通じて取得する販売記録や購買行動をサービスに活かしたり、動画を使って説明するといった施策も検討できます。
このような技術をいかに効果的に使うかがこれからのDXの取り組みで検討していくポイントになるでしょう。
デジタル化の取り組みは、これまでスタッフが当たり前に行っていた店舗業務を減らすことにつながり、営業やサービスのスタッフが「人だからこそできる業務」に時間を使うことができるようになります。どの業務をデジタル化し、どの業務に人が注力するかという整理や絞り込みも、今後は考えていく必要があるでしょう。
ただ、DXに向けた施策を自社だけで考えるのは難しいものです。
そのため、「モビリティベンチャー」と呼ばれる新たなモビリティやサービスを手掛ける企業と一緒に新しいビジネスを模索する取り組みも大事になるでしょうし、そのマッチングや施策考案の過程で、コンサルティングファームの活用も検討できると思います。
その点でもう1つ重要なのは、社内の若手社員の登用です。デジタルネイティブ(生まれたときや、物心ついた時にすでにインターネットが当たり前にあった世代)と呼ばれる若い世代は、経営層とは異なる視点でビジネスを見ている可能性があります。デジタルツールの活用についても、彼らのほうが見識が深く、使いこなせるはずです。経営層が作り、支えてきたこれまでの事業と、若い層の新しい意見や感覚の組み合わせにより、化学反応を起こすことがこれからの経営で非常に大事なポイントになるだろうと思います。
地域で必要とされる企業へ
このような背景を踏まえて、カーディーラーにはどんな方向性があるのでしょうか。
その点について、経営戦略、事業戦略、コア資産の3点から見ていきましょう。
経営戦略については、安定的に収益を生む既存事業に安住するのではなく、そこで獲得した利益を次のスターとなる新たな事業に投資していくことが大事です。
例えば、CASEの領域ではEV化が新たなプレイヤーを生み出しています。Apple Carのようにサービス事業者が自動車産業に関わることで、メーカーを頂点としていた産業のピラミッド構造が、サービス事業者を頂点とする新たなピラミッド構造に変わる可能性があります。
カーディーラーとしては、このピラミッドのどの部分に、どのように関与するかを考える必要があるでしょう。
また、従来のバリューチェーンで考えると、カーディーラーの収益は、販売、金融、アフターサービスの3箇所から生まれていました。しかし、ピラミッド構造の変化やDXによって、この3つのどれかが大幅に縮小したり、飛ばされたりする可能性もあります。例えば、サブスクのような新しい乗り方が普及し、金融の収益が縮小するようなケースです。
次の時代を見据える経営戦略としては、既存事業の収益源が消える可能性や、事業の幅出しとしてMaaSなどへの参入可能性などに目を向けながら、自分たちのビジネスチャンスがどこにあるか、自社の未来のポートフォリオをどうするか考えていく必要があります。
■事業戦略・お客様に選ばれる店づくりをDXで実現
事業戦略でポイントとなるのが、メーカーが製造からサービスの領域に乗り出しつつあることです。この変化により、メーカーが製造し、カーディーラーが販売とサービスを手がけるという分業体制も変わります。メーカーにとって重要な投資領域も、グローバルを意識したSCM(サプライチェーンマネジメント)から地域のお客様、つまりローカルCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)へと変わっていくと予想できます。
また、メーカーは店舗を持たないからこそ、AI、AR、チャットロボットの活用などでお客様との接点を強化し、お客様に向けた情報提供に取り組むでしょう。
カーディーラーは、自分たちの店を選んでもらうために、お客様に有益な情報を提供していく必要があります。これまではメーカーにブランディングを頼り、マーケティングとセールスに力を入れてきましたが、今後はブランディングも含めて一貫性のある取り組み方を考えていかなければなりません。また、この作業を人海戦術で行うのは現実的ではないため、デジタル化に取り組み、DXで実現していくことが求められます。
■コア資産・お客様情報の収集と活用が重要
カーディーラーにとって顧客情報はコア資産です。
お客様の情報の集積は引き続き重要ですし、その情報を、車を販売するために必要と考えるのではなく、地域のお客様の幸せを作っていくために活用していくことが大事です。
そのために、まずお客様の情報の収集と活用方法がポイントとなります。また、メーカーとカーディーラーがタッグを組み、モビリティ視点と生活者視点の両方の視点を持って取り組んでいくことが必要です。
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- UPDATE
- 2021.04.07
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