めざましコラム　第73号　紹介案件橋渡し

「ああ、 なんかミニバンを見に行くとかって話していたよ。 聞いてみようか？」

ダメ元でしてみた紹介依頼。
早速その場でつないでもらって、 来店アポまで確約できた。
なんて素晴らしい橋渡し。
「しっかりサービスしてやってくれよ!」
紹介してくれた部長さん、 なんだか少し嬉しそう。

はいはい、 もちろん頑張ります。 ここから先は私の仕事。

週末には家族で来店、 良い感じ。部長さんの話で盛り上がる。
試乗に査定に商談メモ、紹介案件は話が早い。
ちょっと気が早いかな、 とは思いつつ、 取り敢えずのテストクロージング。
「う～ん、 もう少し考えさせてもらえるかな」

危ない危ない。 焦りは禁物。 紹介案件は丁寧に。 あまり強引にはいかないように。
次回のアポをしっかりとって、 よろしくお伝えください、 とお見送り。

「本当に申し訳ないのですが、 今回は…」
浮かれ気分で掛けたアポ確認の電話で、 奈落の底へ突き落とされる。
他のお店で決めてしまったのだと言う。

いったいどうして？ 裏切られた気持ちに包まれる。
紹介してくれた部長さんにも顔向けできない。
重たい気持ちで電話を掛ける。
― そうか… かえって悪いことしちゃったな。 申し訳ない。
部長さんの声も沈んで聞こえる。
― いえ… 自分の力不足で、 せっかくの機会を…

紹介をもらってからは自分の仕事。
競合状況も把握できず、 相談ももらえずに敗戦したのは自分の責任。

だけれど、 どこかで引っかかる。
本当にボクが悪かったのですか？
紹介案件なのに… いったいどうすれば良かったのですか!?

紹介案件 「橋渡し」
その場でしっかりご連絡。 紹介ルートのメリットをしっかり十分に活用できた。

紹介案件「橋渡し」
ここから先は、 自分の仕事。 いつも以上に丁寧に。
無理せず、 じっくり商談を。

紹介案件 「橋渡し」
だけれど残念、 もろかった。しっかり築いてもらったはずの橋　思ったよりも弱かった。
自分と紹介先のお客様との間の架け橋は、 思ったよりも弱かった。

当たり前が難しい。
その橋は、 弱くて当たり前。 紹介ルートと言うだけの初対面の者同士なのだから。
「ここから先は自分の仕事」　これが大きな勘違い。
弱くてもろい 「橋」 一本で、 商談を進める意思決定。
これでは紹介きっかけの単なる新規の商談に過ぎない。

強固な橋はどれですか。 どこに架かっているものですか。

紹介案件 「橋渡し」
本当に大事な橋は、 自分と紹介元の部長さんとの架け橋でした。
本当に大事な橋は、 紹介元の部長さんと紹介先のお客様との架け橋でした。
元からの信頼関係に裏付けられた、 強くてしっかりした橋がありました。

その橋を渡れば良かったのです。
弱い橋だけを頼りに商談を進めてしまったのが、 失敗だったのです。

紹介案件 「橋渡し」
紹介元の方を介して商談を進めよう。
何しろ、 紹介先の方とはまだ関係が脆弱。 橋がもろいのだから。

聞きにくいこと、 言いにくいことがあって当然、 当たり前。
相談をしてもらえるなんてのは、 思い上がりに過ぎません。

だからこその 「橋渡し」
紹介元に相談しよう。 紹介元に相談してもらおう。

― 私には言いにくいこともあると思うんで、 聞いていただけますか？
― 他店の商談で進んでいるものがあるのか、 聞いていただけますか？

紹介元の方も嬉しいはず。 頼りにされて、 役に立てて嬉しいはず。

「聞いてみたんだが、 他の車種と迷っているようなんだ。
大きな値引きを出されて、 君には無理を言えず、 困っていたんだと」

― そうだったんですか！ありがとうございます。
ちなみに、 車種と値引き額ってわかりますか？

紹介案件 「橋渡し」しっかり橋を渡せれば、 商談も進む。

WRITER

TOHRU.Mコンサルタント

コンサルティング業務全般に従事し、特に組織活性化支援、マネジメント教育、セールス部隊生産性向上に取組む。カーディーラー拠点の営業生産性向上は、延べ100拠点を越え、机上論ではない『現場で活用できるノウハウ』と『本気の支援』に定評がある。