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めざましコラム 第68号 割賦がとれない営業マン

「では、お見積りを作成してきますので少々お待ちください。」

じっくり時間を掛けた新規の商談。
車種もグレードも絞られた。色もオプションも選定済み。
競合相手もしっかり排除。
お客様の気持ちも、私の気持ちも最高潮。
あとは契約残すのみ。クレジットのプランを差し込んで、ついでに割賦も頂こう。

「このクレジットのプランですと、月々のお支払い額がとってもお安く抑えられますよ!」
「ふーん・・・」
「とても支払いやすいので、オススメのプランです!」
「そうですか。でもまぁ、現金でいいかなぁ・・・」
「現金ですね・・・かしこまりました!」

―ちょっと欲張りすぎたかな。でもまあ、OK。これで今月の受注は達成だ。
これが大事、何より大事。クルマが売れなきゃ始まらない。

「しっかり割賦提案するんだぞ。」
店長には、いつも口酸っぱく言われている。

わかってますよ。きちんと提案してますよ。
見積もりには必ず割賦の支払いプランを入れて。
月々の支払額の安さを目一杯アピールして。
しっかり提案はしてますよ。

だけれど、お客様の反応が良くありません。
「現金でいいかなぁ。」

たまたまそんなお客様が続いただけ。ちょっとツキがなかっただけ。

自分に言い聞かせる。
仕方ない。一応、割賦の説明はしているんだから。
仕方ない。“お客様が”現金を選んだんだから。「選ぶのはお客様」なんだから。

「お~い、誰か、こいつに割賦の売り方を教えてやってくれよ!」
店長がいやみったらしく、一年生に声を掛ける。
はいはい、確かにゼロ割賦は僕一人ですよ。まったくホントについてない。

本当に仕方がないですか?

「選ぶのはお客様」、それはごもっとも。
でもそれは、お客様に割賦のメリットをきちんと説明した上での話。
お客様に割賦のメリットをご理解いただいた上での「現金で」なら仕方がない。

もしもお客様に割賦のメリットを伝えられていないのならば、お客様には選べない。
「選ぶのはお客様」なんてとても言えない。
お客様がちゃんと選べるように、しっかり割賦のメリットを伝えよう。

―自動車を買うために作られた商品ですから、ご都合に合わせて柔軟に組めますよ。
―せっかくの新車ですから、手元に現金残して、レジャーを楽しまれてはいかがですか。
―予算よりも欲しいクルマが大事ですよ。10年に1度のことですから。
クレジットも選択肢に入れて、欲しいクルマをご検討ください。

割賦を使うことで、広がる選択肢を、お客様に伝えなければならない。

ついていなかったのは誰ですか?

ついていなかったのは、他でもないお客様。
沢山のメリットを知ることなく、車種を絞り、購入を決めてしまったお客様。
最後の最後での提案は、単なる「支払い方法の選択」に過ぎないもの。
最もメリットの小さい提案方法でしか、伝えてもらえなかったお客様。

ツキを自分に引き寄せよう。割賦提案はお早めに。

最後の最後ではなく、最初の最初で割賦の話を。
価格を聞かれた時に、月々の支払い額をお伝えしよう。
最初の見積にはいくつかの割賦プランを忘れずに。
メリット伝えて、選択肢を広げてもらおう。

割賦だったら、月々〇〇円でお乗り頂けます。
割賦だったら、この車種も買えますよ。
これならお客様も興味を持って提案を聞いてくれる。

手元にツキを引き寄せよう。
商談の早い段階から割賦提案を始めよう。
お客様に合った買い方でクルマを買ってもらうために。
本当に乗りたいクルマで、購入車種を検討してもらうために。

「このクレジットのプランなら、この車種もご購入いただけますよ。」
「へぇ!このクルマは高いから、手が届かないと思ったけど、
クレジットなら買えるのね!」

割賦が獲れない営業マンはもう卒業だ。

UPDATE
2015.08.10
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