めざましコラム　第64号　損してますよ　早とちり

－友人から聞いたんだけど、新しく出たこの車、良いらしいね。
ーそうなんですよ！ありがとうございます！ーちなみにこの「ECO」ってボタンは・・・？
ーこのボタンはエコモードと言って、燃費向上をサポートする機能なんです。
実は、この機能を当店ではオススメしておりまして、※△％□・・・。
－(本当は、その時にパワーが落ちたりするのか、を知りたかっただけなんだけどなぁ･･･)

－中も広そうだね？
－ありがとうございます！良く言われるんですが、前のモデルと比べると、
1.3倍広くなったと言われているんですよ！
今売れ筋のクルマなんです！その他、気に入って頂けるところは、※△％□・・・。
－（荷室について、話をして欲しいんだけどなぁ･･･）

一生懸命伝えてる。お客様のヒント、サインにすぐさま答える。
一生懸命勉強したから。ロープレだって頑張ったから。
トーンを上げ上げ、笑顔で話す。
だけれど、なぜだかお客様はトーンダウン。私の気持ちだけが空回り。

－うん、まぁ考えておくよ･･･
トーンの下がった後ろ姿をお見送り・・・

きっと考えてはくれないだろう。
それくらいは私にもわかる。
目に見えてトーンが下がっていったから。
だけれど、どうにも仕方がない。

自車種のメリットを精一杯伝えた結果だから。
お客様からの問い掛けにしっかり答えた結果だから。
しっかり納得してくれるお客様だって多いのだ。

今回は、結局ニーズに合わなかったということだろう。
お客様の期待に見合う商品ではなかったということだろう。
だから、どうにも仕方がない。

アピールしたくて、勇み足。
期待に応えたくって、早とちり。
伝えたい気持ちは空回り。お客様には届かない、響かない。

お客様には、ありました。
本当は、知りたいことがありました。
けれども、お客様の話の途中で「それはですね！」と説明が始まりました。

ピンポイントではないけれど、完全にずれている話でもない。
本当に知りたいことではないけれど、知っておいた方が良さそうだから聞いておく。
だけれど、だんだん買いたい気持ちがトーンダウン。
なぜだか、商品自体も色あせて見えてくる。

損してますよ “早とちり”
お客様のトーンを下げたのは、他でもない自分。
当たらずとも遠からず の話を延々してしまったのだから。

損してますよ “早とちり”お客様が本当に知りたいこと、聞きたいこと。
最初に出てくるとは限りません。むしろ、話の最後に出てくることが多いのです。
ひょっとしたら出てこないかもしれません。
知りたいことが整理できているお客様の方がまれなのだから。

だけれど、お客様は知りたいのです。
そして、私たちは伝えたいのです。相思相愛のはずが空回り。
もったいなさすぎる”早とちり”

早とちりをやめにしよう。お客様の知りたいことを確認しよう。
お客様の話を最後まで聞いてみよう。
そして最後に考えよう。
ーお客様は何を知りたかったのかな？
わかりづらければ、最後の手。お客様に聞いてみよう。
「こういうご質問でよろしいですか？」
「この件についてお答えすればよろしいですか？」

しっかりとお客様の気持ちを受け止めて、そこから精一杯のアピールを。

ー友人から聞いたんだけど、新しく出たこの車、良いらしいね。
ーそうなんですよ！ありがとうございます！
ーちなみにこの「ECO」ってボタンは…？
ーこのボタンはエコモードと言って、燃費向上をサポートする機能なんです。
ではエコモードの詳しいご説明をさせていただきましょうか？
ーいや、このモードの時って、馬力とかって落ちたりしないのかな？

お客様が本当に知りたいこと。
あまり上手くは説明できなかった。だけれどお客様のトーンは上がった。
お客様からの質問が増えてきた。どんどん質問が具体的になってきた。

お客様の話を最後まで聞くことから始めませんか。

WRITER

MASAYOSHI.Kマネージャー

大手中古車販売店、新車ディーラーを中心にコンサルティング業務全般に従事。
セールス部隊生産性向上、新人早期戦力化、車検入庫率向上、CS 向上支援等に取組む。