めざましコラム　第53号　新入社員のお手本は・・・

新入社員がやってきた。 明るく元気にやってきた。
初々しさと緊張感を身にまとい、 精一杯のあいさつでやってきた。
― 今年の新人は元気がいいな!  これからよろしく頼むぞ！

新人にでもできること。 明るく元気なあいさつを。
ビジネスの基本中の基本だから。
社内外問わず、 いつでもどこでも誰とでも。
明るく元気なあいさつを。 地域密着のお仕事なのだから。

新人にでもできること。積極的なお出迎え。
明るく元気にキビキビと。
お客さまに覚えていただける最大のチャンス。

新人にでもできること。
来電対応。 ３コール以内にさっと取る。
対面ではないコミュニケーション。 しっかり聞き取り、 メモ取り、 言付けする。
ビジネスがぎゅっと詰まった機会だから。
しっかりと身に付けられるよう、 経験、 経験。

時は流れて、 1ヶ月。 梅雨空のようなどんよりムード。

「いらっしゃいませ…」
― おいおい、 どうした元気がないぞ。

「ジリリリリリ！」 電話の音に身を固くする。
急にパソコンをカタカタたたき出す。
― おいおい、 ダメじゃないか、 電話にでなきゃ！

― おい！ お客さまがいらしたぞ、早く行けって！
背中を押せば、 小走りにお客さまのところへ駆けていく。
だけれどどうした新入社員。
その駆け足の姿からは、 初々しさもハツラツさも抜け落ちてしまっている…

新入社員のためだから。
すぐにもできる大事なことをしっかりと。
それすらできないのでは困ってしまう。

― 元気だったのは最初だけ。 なんだい、 今年は「ハズレクジ」。
― 本社はいったいどんな教育をしているんだ!?

新人に 「だけ」 やらせていませんか？

新人にでもできること。
ビジネスの「いろは」。 とても大事。 どんな仕事にでも通じること。
早く仕事を覚えられるよう、 お客さまの覚えも良いように…
色々考え、 機会を与える。

だけれど、 残念。 伝わらない。
十中八九覚えていません。 意味目的重要性。
何度繰り返し伝えたとしても、 きっと理解はできません。
社会人ではなかったのだから。 知恵も経験もないのだから。

だから、 残念。 勘違い。
十中八九こう思う。
― ボクだけに嫌な仕事を押しつけて…
― 他の人は誰もやっていないじゃないか…

身にまとっていた初々しいハツラツさは、 重苦しいやらされ感に。
明るく元気な表情は、 ちょっと憂鬱な五月病顔に。

当たり前が難しい。

新入社員のお手本は
配属されたそのお店の先輩諸氏。
人事部でもマニュアルでもDVDでもありません。
背中を見て、 その行動を身に付けていく。
背中を見て、 その大事さが腹に落ちていく。

新人にでもできる大事なこと。
明るく元気なあいさつを。
先輩こそが大きな声でしっかりと。
最高の笑顔で範を示そう。

新人にでもできる大事なこと。
積極的なお出迎え。
先輩こそが一歩目早くキビキビと。
お客さまの覚えの良い気持ちのこもったお出迎え。

新人にでもできる大事なこと。
来電対応。 ハキハキ明るい電話の応対。
先輩こそが復唱しっかり、 メモもバッチリ。
新人がイメージできないビジネスの手本を示していこう。

時が流れた梅雨空に。
雨雲を吹きはらうような明るく元気なあいさつがお店に響く。
気持ちが明るくなるような
キビキビとしたお出迎えがお客さまを笑顔にする。

お客さまからお褒めの声をいただいた。
― いやぁ、 今年の新人は気持ちがいいね。 楽しみな人財だね！
早速、 彼らに伝えてあげよう。
初々しい笑顔がさらに明るくなるように。

WRITER

MASAYOSHI.Kマネージャー

大手中古車販売店、新車ディーラーを中心にコンサルティング業務全般に従事。
セールス部隊生産性向上、新人早期戦力化、車検入庫率向上、CS 向上支援等に取組む。