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めざましコラム 第48号 その場しのぎ禁止令
「このクルマ、燃費はどうなの?」「ふ~ん、実際のところは?」
かなり具体的なところまで質問が進む。
自車種の魅力をしっかりとご納得いただけるよう丁寧に伝える。
「なるほどね」「そうなんだぁ」
反応も上々。良い感じ。
「ところで・・・」
突然の競合車種との比較質問。最近ちょっと分が悪いあのクルマ。
一瞬、言葉に詰まってしまう。
正直あまり詳しくない。店長のデスクにカタログがあったような・・・
いやいや、今の流れを崩してはならない。
あるかどうかもわからないカタログを取りに行くなんてダメダメだ。
―いやぁ、そこはそれほど気にされなくても大丈夫ですよ!
むしろここの機能の違いが・・・
思ったよりも、自然に切り返しができた。
お客様もご納得いただけたのだろう。それきり競合に関する質問は出なかった。
流れを引き戻せたぞ、良い感じ。この調子、この調子。
「後は、嫁さんと相談して決めるわ」
その日のクロージングはならなかったが、雰囲気は悪くない。ホット客。
「ん~、また連絡するよ」
次回アポは取れず仕舞い。お客様にも都合がある。仕方がない。仕切り直し仕切り直し。
大丈夫。流れはこっちに来ているはずだ。
商談が途切れて3ヶ月。衝撃の事実が待っていた。
「決めたら行くから」の2週間。「もうちょっと待って」の1週間。
「じっくり考えさせて欲しい」の1ヶ月後。
久しぶりの自宅訪問。車庫に新しいクルマが駐まっていた・・・
ボクのオススメしたそのクルマが、ボクではない誰かから買われた
そのクルマがすっぽり車庫に駐まっていた。
―ちぇ、じっくり考えるって言ったのに!
ちゃんと教えてくれれば、時間を無駄にしないで済んだのに!!
その場しのぎ禁止令。
最初にその場しのぎをしてしまったのは誰ですか?
その場しのぎは、効果の短い幼稚な魔法。
問題や悩みが解決したかのような錯覚をお客様に与え
流れを引き戻したかのような錯覚と自己満足感を我々に与える。
だけど、残念。効果は一瞬。お客様の魔法はあっという間に解けてしまう。
お客様は自宅に戻ってしっかりじっくり考えるから。
肝心要の聞きたかったことが、
実はちゃんと答えてもらえてなかったことに気づくから。
魔法が解けたら、あっさりさっぱりと鞍替えをする。
その場しのぎの返答に、憤慨も落胆もしない。文句も言わない。
黙って鞍替えしてしまうだけ。
雰囲気に流されないようにしよう、聞きたいことはちゃんと確認しよう、
と気持ちを改めるだけのこと。
疑問に答えてくれない残念なスタッフには、
期待もしないし、時間も掛けない。
その場しのぎ禁止令。
結局しのげてませんから。
その日の商談の流れに重きを置いて、お客様との関係そのものが
切れてしまっていますから。
しのがないで受け止めよう。
お客様の疑問を、自分の知識不足を、自車種が劣るスペックを、
しっかり受け止め、認めよう。
分からないことを、分からないと認められるその姿勢が、
お客様の信頼を射止めるから。
小さな流れは止まるけど、大きな流れを掴むことができるから。
―即答しかねますので、宿題とさせてください。
しっかり受け止め、宿題としよう。
そして宿題はしっかりとお客様に提出しよう。
曖昧な知識でごまかさず、ちゃんと調べてお応えしよう。
―ちゃんと調べてお答え致します。水曜日までお時間いただけますか?
お客様が知りたかったことの回答だから
次回のアポもスムースに。大きな流れを引き戻す。
- UPDATE
- 2013.12.04
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