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めざましコラム 第41号 アンケート依頼のタイミング

アンケート依頼のタイミング

「お待たせしました。宜しければこちらもお願いします」
カタログの上にアンケートを重ね、自然な笑顔で依頼する。

新規来店のお客様。カタログの依頼に自然な誘導。
窓際の展示車の見える席に着座いただけた。
早足でテーブルに戻り、アンケート依頼のお声がけ。

「あ、そうね。あとでね・・・」
お客様はアンケートにちらりと目をやり、すぐにカタログの表紙をめくる。
「一番人気のグレードはどれかな?」

カタログを一通り説明、さらに展示車見ながら質問に答える。
さあて席に戻って、具体的な商談を!
こちらの意気込みをよそに、お客様はいそいそと帰り支度を整える。
「せめてこちらだけでもお願いします」
懸命の笑顔で最後にもう一度アンケートをお願い。
「ん~、またくるよ」
小一時間の商談で、手元に残ったのは白紙のアンケートが一枚。
名前も連絡先も分からない。

アンケート回収が難しい。

全敗しているわけではない。ちゃんと書いてもらえるお客様もいる。
カタログと一緒に早期に依頼、最後のワンプッシュだってしている。
それでもよほど嫌なのか、書かないお客様は書いてくれない。

だけれど、店長は言う。
「アンケートなんて取れて当たり前。フリー客はすべてホット客だと思え!」
もちろんホット客だと思っていますよ。
真剣に対応、依頼もしてますよ。
でも実際、書いていただけません。だったら店長、やってみせてよ。

アンケート回収が難しい。

難しいのも当たり前。難しいタイミングでお願いしているのだから。

お客様の気持ちになって考えてみよう。
目の前のカタログとアンケート・・・どちらに手を伸ばす?
用件が済んで腰を浮かせたところでアンケート・・・もう一度座り直す?

アンケート回収はタイミング。
お客様の気持ちが他に向いてしまっている時では難しい。

アンケート回収はタイミング
クルマを見に来たお客様がアンケートに気持ちを向けるそのタイミング

そんなタイミングがいったいどこに?
なければ作るのが営業の仕事。
お客様の気持ちが、アンケートに向いてしまう、そんな「手待ち」の時間を作ること。

「手待ち」の時間を作り出そう。
―お客様が何かをしようとするその瞬間
―お客様が何かをしている真っ最中
―お客様が何かを終えたその直後
ではなく、お客様が何かを待って「もてあます」その時間を

「手待ち」の時間を作り出そう。
”あえて”アンケートを書いて頂くための時間を作ろう。
―カタログを取りに行く
―その時間に 試乗車を準備する
―その時間に 商談メモを作る
―その時間に 即答できない質問を確認しにいく その時間に

「すぐ準備いたしますので、その間にこちらをお願いします」

たかがアンケート。されどアンケート。

早い段階で、お客様の名前や住所などを知るだけで
商談の中身が変わってくる、ちょっとした会話に深みが出てくる。
近所の道、スーパー、学校、テリトリー内なのだから、話を膨らませられるはず。

お客様にとって、少しでも価値ある時間にするために
ちょっと手待ちの時間を作らせてもらおう。
アンケート依頼のタイミングを作らせてもらおう。

WRITER

TOHRU.Mコンサルタント
コンサルティング業務全般に従事し、特に組織活性化支援、マネジメント教育、セールス部隊生産性向上に取組む。カーディーラー拠点の営業生産性向上は、延べ100拠点を越え、机上論ではない『現場で活用できるノウハウ』と『本気の支援』に定評がある。
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