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めざましコラム 第28号 競合比較の落とし穴

「悪いんだけど、今回は車検を通すことにしたよ。」

「えっ!そうなんですか!? 車検ですか?B社さんでもなく・・・?」

「そう車検。また次の機会に考えるよ。」「そ、そうなんですか・・・」

満を持してのクロージング。

因縁深いB社との一騎打ち。周到な準備に万全の商談。

店長からは格別の条件も用意してもらった。

自車の良いところは、2度の試乗で十二分にご体感。

B車の悪いところは、お手製の比較表で十分にアピール。

比較表を見てのお客様

「これホント?がっかりだなぁ B社の営業マンはそんなこと言ってなかったぞ」

横でうなずく奥様見ながら、私は心の中でガッツポーズ!

良い返答を頂くだけの連絡で、まさかまさかの「購入見送り」。

―いったい 何があったのですか!?

お客様に聞いたら、にごされた。

店長に聞いたら、叱られた。

先輩に聞いたら、なぐさめられた。

だから、結局分からない。「あんなに買う気だったのに、車検っていったい何で!?」

競合比較の落とし穴

せっせせっせと穴を掘る。競合相手が落ちますように。

お客様は悩み、比較する。より良いクルマを買うために。

自分にあった一台を見つけるために。

我々も悩み、比較する。より自車種が魅力的に見えるように。

お客様に自車種を選んでいただくために。

競合比較の落とし穴

競合相手も穴を掘る。ボクらを穴に落とそうと。

互いに懸命「穴掘り合戦」

やっているのは、「自分都合の競合比較」

相手の強みを打ち消すように、自車種の強みを強調し、他車種の弱みを際立たせる。

-そっちのクルマは、買わない方がいいですよ・・・

お客様からすれば、面白くない。

話を聞く度に、自分が魅力を感じたクルマの悪い点を聞かされるのだから・・・

お客様の「買う気」が失われていく。

話を聞く度に、自分が検討しているクルマの魅力が失われていくのだから・・・

競合比較の落とし穴

必死に掘った落とし穴。はまってしまったのはお客様。

買う気を失い、購入自体を見送った。

結果を一番不本意に思うのは、他の誰でもない「お客様」。

本当は気持ち良く新車を買いたかったのに、買うことすら出来なくなってしまったのだから。

自分都合の競合比較から抜けだそう。

落とし穴なんて必要ない。

競合比較もお客様目線。

相手のクルマを褒めるところから始めてみよう。

お客様が気に入り、検討しているクルマである。

けなしたところでプラスポイントはない。

「良いクルマですよ」と堂々とした姿勢で褒めてみよう。

相手のクルマのセールスポイントをお客様に伝えてみよう。

それぞれのクルマの魅力を、自分からお客様に伝えてみよう。

-向こうが優れているのはこの点です。

自車種の弱みも認めてみよう。その上でしっかり伝えていこう。

-自車種が優れているのは、この点です!

お客様の「買う気」を高めていこう。

「さすがプロだね、良く勉強しているね」

「向こうの説明よりも、分かりやすかったよ」

相手をけなす陰口なんて必要ない。「買う気」と「信頼」を失うだけ。

競合比較は「イイトコロ」比較。

自社の強みを引き立たせるのは、相手の強みを打ち消すことではない。

相手の強みに臆することなく、イイトコロを伝えきる姿勢こそ

強みをより引き立たせ、信頼できる自信の態度に映るのだ。

UPDATE
2013.02.04
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