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めざましコラム 第13号 お客様以上に真剣に

A君は考えた。

これを落とせば後がない。

熱意が大事。

熱意で必死に食らいつき、何としてでもクロージングだ。

B君は考えた。

これを落とせば後はない。

誠意が大事。

真摯にお客様に応え、納得いただいてクロージングだ。

2時間後…

二人に向けられたお客様の言葉は同じものだった。

「ごめん、今日は決められないよ。もう少し考えて、またこちらから連絡するよ」

 

お客様は難しい。

 

焦る気持ちは分かる。慎重になる気持ちも分かる。そして一台の受注が欲しい気持ちも良く分かる。

きっとお客様も分かっている。

ただ…、お客様の心を動かすことはできなかった。

 

熱意が大事。誠意が大事。

 

A君は持てる知識を総動員して、その車種の魅力、購入するメリットを必死で訴えた。

B君はお客様の一言一句を漏らさぬよう、しっかりと耳を傾け、一つひとつの質問に応えていった。

どちらのお客様も、なるほどなるほど、とうなずきながら聞いてくれていた。

しかし、お客様はこうも思う。

― 頑張ってはくれているんだけど、何か物足りないんだよな…

 

当たり前が難しい。

 

熱意は大事。誠意も大事。

しかし、それだけでは足りないこともある。

どれだけお客様のことを考えることができたか、が大事なのである。

― 当然考えていますよ!

10人に聞けば、10人がそう答えるだろう。

だが、思い返して欲しい。お客様は「何か物足りない」と感じているのだ。

何が足りないのか… 「考えること」が足りないのだ。

 

お客様以上に真剣に。

 

お客様は真剣だ。約10年に一度の100万円を超す大きな買い物である。本気で真剣に考えている。

我々はプロとして、そのお客様以上に真剣に、そのお客様のことを考えなければならないのだ。

 

お客様のことを考える時間を持とう。 まずは商談直後に5分間。

その日の商談を振り返り、どんなお客様で、どんな商談だったのかを考える。

そして、そのお客様が帰宅後、何を考え、相談するのかを考える。

すると、もっとしっかりと伝えておきたかったことや、もっと聞きたかったことが浮かんでくる。

お客様の真剣な買い物に、真剣に応えたくなってくる。

 

このとき、真剣さがお客様を超える。

このとき、「決めたら、連絡するから」が、「一緒に考えてもらえるかい?」に変わる。

このとき、「自分のための熱意、誠意」が、「お客様のための熱意、誠意」に変わる。

 

A君B君は考えた。

これを落とせば後はない。

このお客様は今、何を感じ、考えているだろうか?

迷い悩んでいることは何だろうか?

やり残したことはないだろうか?

二人はその場で受話器を取った。週末の商談を充実させるために。

お客様の真剣さに負けないために。

WRITER

TOHRU.Mコンサルタント
コンサルティング業務全般に従事し、特に組織活性化支援、マネジメント教育、セールス部隊生産性向上に取組む。カーディーラー拠点の営業生産性向上は、延べ100拠点を越え、机上論ではない『現場で活用できるノウハウ』と『本気の支援』に定評がある。
UPDATE
2013.02.03
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