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お客様関係性を軸に経営の王道をいく
トヨタカローラ姫路株式会社は、かつてお客様満足度調査(CS調査)で地域最下位であった。そこからわずか三年で、地域No.1の座を獲得。今もトップクラスのCSを維持し続けている。そしていま、CS活動(お客様満足活動)は「お客様の創造」という次なるステージへ進化し、成果をあげている。
今回は、お客様との関係性向上によるお客様創造に焦点を当て、取締役社長の瀧川氏、取締役営業副本部長の百々氏にお話を伺った。
※同社では、お客様に敬意を表すため「顧客」「管理客」という言葉を使わず「お客様」「既存のお客様」という言葉を使っています。
リブ・コンサルティング(以下リブ): トヨタカローラ姫路様では、二〇一一年から、管理者、営業スタッフ、サービススタッフを対象としたリブの「お客様関係性向上プログラム」に取組んでいます。一昨年から三店舗ずつ取組まれ、今年は三期目になりました。
まずは、このテーマに取組まれるまでの経緯についてお聞かせください。CSが地域一番にもかかわらず、さらにお客様関係性向上プログラムに取組まれたのは、どのようなお考えがあったのでしょうか。
CS向上の取組みをお客様創造につなげる
瀧川取締役社長(以下敬称略):CS向上の取組みを、お客様を減らさないための活動に留まらせるのではなく、お客様を増やすことにつなげていきたいと考えていました。お客様創造の仕組み、仕掛けをつくりたいと思っていました。
実は、私がこの会社に入った当時はCSが地域で最下位でした。そこからCS向上の取組みを推進し、地域一番の結果がでました。しかし、どこかモヤがかかっているようでした。当時の取組みの延長線上に、「お客様創造」のイメージを持てなかったのです。
お客様関係性ランク
瀧川:そんなときにリブさんと話をする機会があり、お客様満足度を「お客様関係性ランク」という軸で六段階に分け活動していく方法を知りました。
これまでのCR活動では、そもそも代替や入庫と言った結果しか目指していませんでしたから、お客様関係性ランクでいうところのレベル四(「クルマのことは担当スタッフの○○さんにお任せ」という状態)を上限とした活動に留まっていました。そもそもこの様な区分が無かったですから、どのレベルのお客様にも一緒くたの活動になっていましたし、レベル五や六の「紹介をもらえる関係性」まで考えた活動になっていませんでした。
リブ:「お客様関係性ランク」という考え方について、具体的にはどのようにお感じになられたのでしょうか。
瀧川:入庫ランク(入庫頻度)で管理をする方法もありますが、それだと頻度よく入庫されるお客様を「良し」としますよね。しかし、その中には当社との関係性が低いお客様もたくさんいます。「なんとなく入庫してくれる」「近いから入庫してくれる」「他にお店を知らないから入庫してくれる」というお客様です。
そういうお客様は、入庫ランクは高くても、何かあれば流出してしまいます。まして他のお客様を連れてきてはくれません。
「ただのクルマ屋さん」から「なんでも話せるパートナー」
「○○さんの応援団」へ
瀧川:その点、お客様関係性ランクは、「お客様にとって私たちはどういう存在か」というお客様視点で区分していますよね。名前も知らないただの「クルマ屋さん」なのか、それとも「何でも話せるパートナー」や「紹介を次々くれる応援団」なのか。この考え方は、お客様創造を目指したCR活動の管理に非常に合っていると思います。
既存のお客様からの受注数前年比 一五〇%!
スタッフ一人当り受注数前年比 一六〇%!
リブ:取組み成果は、業績面でどのように出ていますか。
瀧川:第一期の二店舗は、業績優秀店舗として、当社の年間表彰を受賞しました。この二店舗は、既存のお客様からの受注数が前年比一五〇%を達成しました。うち一店舗は販売効率(スタッフ一人当たり販売台数)において、前年比一六〇%超の伸展をみせてくれました。
百々取締役営業副本部長(以下敬称略):研修が終わると同時に取組みも終わってしまうことって多いですよね。今回は研修が終わって8か月たってからの受賞ですので、研修後も継続して取組んでいた証拠です。それがこの研修のすごいところです。
実行・継続の鍵は、「自分で感じ、考え、行動し、振返る」
リブ:従業員の方々には、どのような変化が見られますか。
百々:店舗ぐるみの活動レベルがあがりました。「お客様関係性向上」という共通言語で意識統一されているからでしょう。一人ひとりが取組みの目的・ゴールを意識し、自分たちで話し合い、考え、作り、行動する。そして自分たちで振返り、協力して改善する。店舗のPDCAを廻す力が一段あがりました。
瀧川:お客様との一つひとつの接点で、しっかり考えて行動するようになりました。たとえば感謝カードは、来店されたお客様と会えなくても何とか関係性レベルを上げようと考え取組んだ施策の一つです。
リブ:感謝カードの他にも、「お客様関係性向上プログラム全体像」に記載されている様々な取組みをされています。
リブ:お客様関係性向上プログラムについては、どのような感想をお持ちですか。
瀧川:PDCAのCAの部分が上手く仕組化されていると思います。押しつけではなく、自分たち自身で確認し、考え、話し合いながらCAを行う。だからこそ、次のPDにつながり、実行レベルがあがるのだと思います。これを自社でやろうとすると、どうしてもやらされ感がでてしまって難しいですね。
きついきついと言いながらも、楽しみながら日々やり遂げる
百々:従業員としては研修に出るのも大変だと思うんですよね。定休日に研修をしていますし、宿題も出ますし。でも見ていると楽しそうなんです。この研修の一番の成果は、仕事を楽しめるようになることかもしれません。
瀧川:そうですね。正直宿題はきついと思います。でも、きついきついと言いながらも、日々きちんとやっている。しかも通り一辺倒でないものがでてくる。研修と日々の活動が乖離していないからでしょう。
リブ:担当コンサルタントの取組み方はいかがでしたか。
瀧川:変な話、思いやりとか、真剣さが、仕事の範囲を超えていますね。そこが非常にいいです。こちらからお願いしなくても、研修の中で私の想いを代弁してくれます。たくさんのディーラーを見ている第三者が客観的に言ってくれますから従業員によく伝わります。
その上「皆さんは恵まれている」とか「いい会社だ」と従業員に言ってくれます。従業員はそれを聞くと、満足感が高まり、環境のせいにしなくなりますので、実行レベルの向上にもつながります。これは自分では言えませんよね。
お客様を中心においた経営の王道を突き進んでいく
リブ:今回の取組みを活かして今後どのようなことを期待していますか。
百々:お客様との関係性づくりでは、ある従業員はできていて、ある従業員はできていないという状態はダメです。担当者がいなくても他の人がしっかり応対できる。どうしてもお待たせしてしまう時に、他の人が自然とフォローの一言を入れられる。そういう店舗全体として、お客様を気遣えるスタンダードが生まれてきました。今後はさらにこの店舗ぐるみの活動を強固にしていきたいと思います。
瀧川:経営は、小手先のテクニックでなんとかなるものではなく、お客様の満足の先にあるものと考えています。お客様関係性を軸にした経営の王道を突き進んでいきたいですね。
そのためには、全社が企業理念の実現に向かっていくことが重要です。今回の研修内容は仕事そのものであるし、お客様のためを考える企業理念を体現していく活動です。このお客様関係性という考えを組織に根付かせていきます。
取材日:2013年7月
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- UPDATE
- 2017.03.22
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